ファミリーマートはサークルKサンクスを傘下に抱えるユニーグループ・ホールディングスとの経営統合の基本合意書を締結。2016年9月の本統合に向け準備を進めている。セブン&アイ・ホールディングス、イオングループに続く第三極の小売りグループとなりえるのか。中山勇社長に聞いた。

GMSがコンビニのサテライトキッチンに

――成長戦略のテーマに「Fun&Fresh」を掲げているが、その意味は?
ファミリーマート社長 中山 勇氏

【中山】2015年度から、新たなコンビニエンスストア(CVS)像を確立することを主眼にした中期経営計画に取り組んでいる。そのコンセプトが「新しい発想でお店そのものの楽しさ、新鮮さを追求する」というものだ。CVSは、1970年代の草創期の第1フェーズから、独自商品と多彩なサービスで人の生活に密着した第2フェーズを経て、今は第3のフェーズを迎えている。当社がスーパーやドラッグストア、調剤薬局、カラオケなどの業態と組んで一体型店舗を展開するのも、次のフェーズの店舗フォーマットを確立するチャレンジだ。現在、健康管理の商品やサービスから宅配事業、あるいは洋服の修繕や洗濯サービスにいたるまで、CVSの新しい機能について様々な可能性を議論している。

――その計画の中でユニーグループとの統合には、どのような狙いがある?

【中山】まず規模の効果だ。消費者の課題を解決する次世代のCVSを実現するには店舗の密度が重要だ。CVSの商圏はおよそ2500人だが、今後1000人程度に狭まることも視野に入れると、全国に2万店は必要だ。今回の統合で我々の店舗数は1万1000店から一気に1万7000店になり、それに近づく。もう一つはスーパー、GMSとの機能補完的なシナジー効果だ。

コンビニの弱点は調理スペースがないことだが、GMSをコンビニのサテライトキッチンとして活用すれば、出来立てのパンや惣菜を店頭に並べることができる。一方、スーパー、GMSはネット通販との戦いが経営課題だが、CVSの店舗網を生かしたデリバリー体制を組めば対抗できる。コンビニの店舗網を大型店で束ねてつくった“熊手”でお客様をかき集めるイメージだ。