2016年1月12日(火)

即断即決、即実行!「先送り撲滅会議」に潜入

PRESIDENT 2015年9月14日号

著者
中沢 明子 なかざわ・あきこ

1969年、東京都生まれ。編集者を経て独立。女性誌、ビジネス誌を中心にインタビューやルポルタージュ、書評を手がける。著書に『埼玉化する日本』、共著に『遠足型消費の時代』、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』など。

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ジャーナリスト 中沢明子=文 向井 渉=撮影
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生き馬の目を抜くIT業界を生き抜くためには

IT業界の時間感覚はとてつもなくシビアだ。動きが早い業界柄、斬新なアイデアでも、すぐに実行しないとあっという間に陳腐化して失速、といった事態は日常茶飯事。新規事業企画案を練り、上司が判子をいくつも捺し、準備万端整えた数カ月後にいよいよ企画スタート、では遅い。

かといって、闇雲に新規事業を立ち上げてもリスキーだ。そこで、サイバーエージェント率いるサイバーグループ各社では、さまざまなスクラップアンドビルドを素早く実現させるため、独自の施策や制度を多く実施している。

会議を形骸化させない工夫や、新卒内定者が入社と同時に子会社社長に就任という大胆な決定も、サイバーグループの社風では当たり前。生き馬の目を抜くIT業界で、1998年創業とすでに「老舗」となった同グループが生き残ってきた理由の1つに、必ず「実行」を徹底させてきたことがある。

例えば、サイバーエージェントの施策では、2006年にスタートした「あした会議」が有名だろう。役員を頂点としたチーム対抗で行われる、新規事業立案のための社内コンテストだ。1泊2日で行われるこの会議のすごいところは、藤田晋社長がその場で細かく採点した後に、勝ち残った事業案を「即実行」に移すところ。聖域なく、スクラップアンドビルドのスピードが速い同社において「スクラップ」されることなく、ブラッシュアップされながら現在まで続いている施策だ。

また「CA8」は役員8人のメンバー入れ替えを定期的に行う制度。一度上がった役員が退任するということに、当初は社員も困惑したそうだ。退任した元役員に周囲が気を使う場面もあったが、回を追うにつれて役員はキャリアパスの1つと受け入れ、社員の士気も上がったという。

「ジギョつく」は読んで字のごとく、新規事業をつくる社内コンテスト。今年から新規事業研究会を設立し、体制や内容のバージョンアップを図るそうだが、基本的に同じものが続いている。

この「ジギョつく」で11年に内定者ながら見事優勝したのが、現在、サイバーグループでスマートフォン向けソリューションサービスを提供するシロク代表取締役、飯塚勇太氏。アプリやメールのお知らせがスマートフォン画面にポップアップされるサービスなどを提供している。

飯塚氏は学生時代から仲間と一緒にアプリを開発していたが、サイバーエージェントに内定が出てすぐの頃、「ジギョつく」の賞金100万円をサーバー開発費用に充てようと応募したところ、見事優勝。藤田社長に見込まれて、入社前の内定者時代に子会社設立と社長就任を任された。1990年生まれで、現在、サイバーグループで2社の子会社を経営する。

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