2016年1月5日(火)

仕事が嫌になったとき、どう乗り越えるか

PRESIDENT 2016年1月4日号

著者
山口 雅之 やまぐち・まさゆき
フリーライター

ビジネス誌、経済誌を中心に活動。単行本の執筆、映像台本も手掛ける。テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞優秀賞。著書に『一流の人の考え方』(日本実業出版社)、『塀の中から見た人生』(カナリア書房)。

執筆記事一覧

フリーライター 山口雅之=文・構成 埼玉学園大学人間学部長 小玉正博=解説 共同通信社/amanaimages=写真
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会社員は企業と社会の間で股裂き状態

東洋ゴムの免震ゴムデータの改ざん。東芝の利益水増しによる不正会計。独フォルクスワーゲンによる排ガス規制を逃れるための不正ソフト搭載。旭化成建材による杭データの偽装……。

2015年は企業、それも業界を代表するような大手の不祥事が目立った年だった。

社員個人の行動が建設業界全体を巻き込む問題に発展した旭化成建材の杭データ問題。(共同通信社/amanaimages=写真)

大手企業の社員といえば、一流大学を卒業し、社会常識や倫理観を持ち合わせていると思われている。それにもかかわらず、なぜ新聞のトップ記事になるような不祥事が起こるのか。埼玉学園大学で臨床心理学を教える小玉正博教授はこう分析する。

「現代のビジネスパーソンは企業の倫理と一般社会の倫理の間で生活をしています。通常は両者のバランスを取りながらうまくトレードオフさせて仕事に取り組みますが、企業の倫理が一般社会の倫理を超えたときに、不正や汚職などが起こります」

企業の倫理では、目的である利潤の追求が最も重要とされるため、一般社会の倫理の枠を超えることがあるという。しかし、ビジネスパーソンがいつも自動的に企業の倫理に従うというわけではない。

「会社員は同時に一般市民でもあります。つまり、会社と社会の相容れない2つの倫理観に挟まれて股裂き状態となり、常に葛藤しています」

たとえば、なにかの拍子に会社で不正が行われていることを知ったとする。最初は「こんなことをしていいのか、いいはずがない」と思う。しかし、次の瞬間、「それを指摘したら会社に不利益をもたらす人間として裏切り者扱いされるかもしれない。最悪の場合はクビだ。そうなったら生活の糧を失ってしまう。明日からの生活はどうしよう。家族はどうなるんだろう」。そのような想像が頭に浮かんできて、身動きが取れなくなる。このような状況は、誰もが心当たりがあるのではないだろうか。

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