損をしたくないと思うあまり、知らぬ間に損をしていることがある。どうしたらその損を減らせるのか。行動経済学に沿って自分の数字力をチェック。

Q. 3000円の松、2000円の竹、1000円の梅という3種類の幕の内弁当を販売している。現在は竹が1番売れているが、松の売り上げを1番にしたい。あまり手をかけずに松の売り上げを増やすにはどうすればよいか。

A. 真ん中を選ぶ心理、「フレーミング効果」を使います。

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「フレーミング効果」を利用しましょう。これはフレーミング、すなわち枠組みを変更することで感じ方を変えるというやり方です。

松竹梅の3ランクがあると、7~8割の人は竹を選ぶといわれています。松ではもったいないが梅では格好悪い。そんな心理が働くからで、数字の絶対額ではなく相対的な比較感が人の気持ちを動かすのです。

松の売り上げを増やすにはこれを利用して、内容と値段はそのままで従来の竹を梅に、松を竹に変え、新たに5000円の松をつくるのです。従来の梅は廃止します。すべての値段が上がっているのでトータルな売り上げが向上するかはわかりませんが、こうすると新しい松竹梅の中で1番売れるのは竹、つまり従来の松になります。

フレーミング効果の1つとして、表現方法を変えることで受け取り方が全く違ってくるというものがあります。「成功率は95%」という手術と「20人に1人が失敗して死ぬ」手術、あなたが受けたいのはどちらでしょうか。大多数の人は前者の成功率にかけたいと思うでしょう。

しかし、どちらもいっていることは「5%は失敗する」で一緒です。

ところが前者の場合は95%という成功率がとても高く感じ、後者は「自分が20人の1人になるのでは……」と不安にかられます。

同じ数字でも表現の仕方によって、受ける印象はガラッと変わってしまうのです。

▼もう1問応用問題にTRY!

Q. ある消費者金融で「1万円借りて金利は1日たったの5円」という広告があった。この金利は安いか高いか。

A. 高い。1日5円なら1年で1825円、年利18.25%になる。

大江英樹(おおえ・ひでき)
1952年、大阪府生まれ。野村証券で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングなどに従事後、2012年オフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。日本経済新聞電子版で「投資賢者の心理学」連載、その他『定年楽園』『その損の9割は避けられる』など著書多数。近著に『老後貧乏は避けられる』。