2015年12月18日(金)

ついついやってしまう「自慢話」の控え方

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2015年8月3日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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茂木 健一郎 写真=PIXTA
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生きるうえで最も大切で、また、難しいのは、自分の「個性」を認識し、それを活かすことだろう。

個性というものは、長所と短所が表裏一体になったものである。頑固な人は、それだけ取れば短所だが、1つのことをやり遂げるという意味では長所である。優柔不断な人は、決断できないという意味では短所だが、さまざまな角度からじっくり考えるという意味では、長所である。

自分の個性を認識するのは、脳の前頭葉による「メタ認知」の働きの1つである。自身を、あたかもカメラで外から見ているかのように観察する。個性がメタ認知できると、短所を補えるし、長所も活かせる。

ここで問題なのは、個性の「メタ認知」が、実に難しいということである。

自分の外見は、鏡に映せばわかる。顔のここがどうだとか、髪の毛がこうなっているとか、鏡に映った自分の姿を見て、女性は(最近は男性の一部も)化粧をする。

一方、自分の性格的な特徴は、映すモノとしての鏡がない。だから、メタ認知しにくい。実際、自分の性格の長所や短所に気づいていない人は、年齢に関係なく多いのである。

では、どうすればいいのか? 自分の個性を映す鏡は、どこにあるのか? 実は、それは、他人の中にある。

脳の前頭葉には、「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があって、他人と自分を、まるで「鏡」のように映し合っている。

ミラーニューロンを含む回路は、他人の心を読み取る際に、重要な役割を果たしている。他人の心を読み取るということと、自分の心を「メタ認知」することは、ちょうど鏡に映ったようにお互いに関係している。自分という「鏡」に映った他人のありようを通して、私たちはコミュニケーションを図るのだ。

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