2015年11月7日(土)

なぜ辛いモノ好きの老人は“がん”になりやすいのか?

がんを告知されたらするべきこと【3】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
谷川 啓司 たにがわ・けいし
ビオセラクリニック(東京女子医科大学病院関連施設)院長、医学博士

1964年生まれ。防衛医科大学校卒業後、東京女子医科大学消化器外科入局、東京女子医科大学消化器外科医療練士修了。専門は消化器外科、腫瘍外科。米ミシガン大学医学部腫瘍外科において免疫細胞療法、遺伝子治療の研究にsenior research fellowとして従事し、医師・大学院生に免疫療法の研究を指導。東京女子医科大学消化器外科帰局後、外科医としてだけでなく癌免疫細胞療法チームとして癌免疫細胞療法の臨床研究に携わる。東京女子医科大学医学博士号取得後、2001年ビオセラクリニック開設。東京女子医科大学消化器外科講師。

執筆記事一覧

ビオセラクリニック院長・医学博士 谷川啓司=文
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抗がん剤、病院選び、がんの正体……がん患者さんとご家族が“がん”と“がん治療”の全体像について基本的知識を得る機会は多くありません。本連載では、父と妻を“がん”で失った専門医が、医師そして家族の立場から、がん治療の基本を説きます。

なぜ辛いものを食べるとがんになりやすいのか?

がんが生まれてしまうのは、古い細胞から新しい細胞に遺伝子をコピーするとき、遺伝子の一部に写し間違いが生じるからです。

新しい細胞は生まれるときに、古い細胞の持つ遺伝子の情報をそっくりそのまま受け継ぎます。

1つの細胞には、信じられないほど大量の遺伝子情報がぎっしり入っていて、この遺伝子情報を一字一句間違いなく写し取らなければならないのですが、完全にコピーするのはなかなか難しいことです。たとえ工業製品であっても不良品が1つも出ないということはあり得ないように、間違いは必ず起きてしまうものです。この遺伝子の写し間違いを「遺伝子の突然変異」と呼びます。

この間違いはそれほど頻繁に起こるわけではありません。細胞1つひとつで見れば、私たちが交通事故に遭うよりもずっと確率は低いでしょう。

『がんを告知されたら読む本』(谷川啓司著・プレジデント社)

しかし私たちの身体を構成している細胞の数は全部で約60兆個もあり、毎日数百億個、数千億個というレベルで新たな細胞が生まれています。そのたびに細胞分裂が起きるのですから、一定の割合で遺伝子情報を写し間違えた細胞ができてもおかしくありません。

ただし遺伝子情報を写し間違えたからといって、その細胞がすべてがん細胞になるわけではありません。さきほど説明したように、がん細胞の特徴は、増え続ける性質と転移できる性質を同時に持つことです。この2つの性質を同時に持つことができなかった場合、その細胞はほかの正常細胞と同じく、寿命が来れば死んでいきます。

このようにがん細胞とは、偶然に偶然が重なって、たまたま、がんになる性質を獲得したものです。がんになる確率はそれほど高くありませんが、細胞分裂の機会を多く持てば持つほど、間違いが起こる確率も上がります。つまり年をとればとるほど、細胞分裂の回数が増えるので、いずれは間違いが起こって、がんができる確率が上がるのです。

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