いきなりですが、質問です。1位インドネシア、2位インド、3位パキスタン、4位バングラデシュ。これは何の順位でしょうか?

――ええと……すべて人口が多い国のような……。

正解は、「イスラム教徒の人口が多い国ランキング」です。実は、この4つの国にはもう1つ共通点があります。わかりますか?

――何でしょう……?

すべて女性がトップになったことがある国だということです。

――イスラム教は女性の地位が低いというイメージがあるので、意外ですね。

仕事のうえでは、男性と女性の間に差がないということでしょう。現役女性トップとしては、ドイツのメルケル首相も有名ですね。

――たしかに男女差はないのかもしれませんが……現に僕は、部下が女性だとやりにくいと感じます。

それは、あなたが「女性は特別に扱わなくてはいけない」と思っているからではないですか? 仕事のうえでは「男性も女性も一緒」と考えるべきです。

営業職であれば、男性であろうが女性であろうが、「たくさん売ってこい」がすべてですし、技術職であれば「勉強して技術を上げろ」がすべて。部下が女性だからといって、仕事のうえでは腫れ物を扱うように接する必要もなければ、特別に優しくする必要も、苦手意識を持つ必要もありません。

――たしかにそういう考え方もあるかもしれません。でも、やっぱり男性と女性は根本的に違うものだから仕方がないんじゃないですか?

もちろん違います。男性は赤ちゃんを産めません。

ただ、仕事をするうえで、その違いが意味を持っているとは思いません。個人差のほうがはるかに大きい。

部下を男女で分けて考えるのではなく、仕事の内容や能力で分けて考えなくてはいけないのです。要するに、相手を「異性」と意識しないことです。年齢、性別フリーで考えましょう。

――異性だと意識しないというのも難しいですね。僕にできるかな?

慣れることも必要かもしれません。

これまで、男性中心の職場で働いてきた人は、女性といえば、妻や恋人としか接したことがない。もしくは飲み屋の女性と話すくらい。このように、限られた世界でしか女性と接したことがない人は、職場という、異性であることが意味を持たない世界でどう振る舞っていいか、混乱するのかもしれませんね。

――妻と接するのも苦手な場合はどうすればいいんでしょうか?

それはきっと……別の問題があるのだと思いますよ。

Answer:相手が異性であると意識しないことに慣れましょう

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。
(構成=八村晃代 撮影=市来朋久)
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