2015年9月28日(月)

懲戒処分され「依願退職」で闇に葬られる人の裏事情

あなたの出世、採用、給料、リストラはこう決まる【17】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

執筆記事一覧

ジャーナリスト 溝上憲文=文
4月、9月は人事異動の季節。組織再編や人事異動の噂が流れ、部下が落ち着かなくなる時期でもある。昇進する人、左遷で転勤する人、子会社に出向する人……、悲喜こもごものドラマが繰り広げらる。そのなかに表沙汰にされず、ひっそりと退職する人もいる。懲戒処分を受けて依願退職する人の裏事情とは。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、「リストラ・解雇」の最新事情をお届けする。

不祥事が発覚したら依願退職で辞めさせる

4月と9月は人事異動の季節です。昇進する人、左遷で転勤する人、子会社出向になる人、定年退職する人などさまざまですが、中には表沙汰にできないものの懲戒処分を受けて“依願退職”する人もいます。

建設会社のコンプライアンスに関する通報窓口を担当する人事担当者はこう言います。

「セクハラやパワハラの告発や経費の不正流用などの背任の通報もあります。調べて事実とわかり、悪質な場合は辞めてもらいます。お金の使い込みの場合は、本人が返済することに合意すれば、年度末に依願退職の形で辞めてもらうことになります。規定の退職金は支払うことになりますが、懲戒解雇や刑事告発をすれば、社内外に知られ、会社の恥になるのでまずやらないのが普通です」

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

傷害や暴力沙汰が発生した場合でも、社内であれば内密に処理すると言います。ということは仮に横領しても事実は隠蔽され、一身上の都合で辞めたことになり、別の会社に転職しても気づかれません。再犯の可能性もあります。処分でやっかいなのが宗教の勧誘です。人事担当者はこう続けます。

「入社したばかりの新人の女性が職場で宗教の勧誘をしつこくやって困るという通報がありました。社内規定には宗教等の勧誘や物品の販売をしてはいけないことになっています。本人を呼んで厳しく取り調べたところ、30代後半の妻子持ち男性社員の勧めで入信したと言うのです。じつは2人は彼女が入社後に不倫関係になり、入信後は熱心な信者に変貌し、職場で布教活動をするようになったのです」

結局、原因を作った男性も社内規定違反の責任をとる形で2人に辞めてもらうことにしたそうです。もちろん、このケースも依願退職ですから転職先での“再犯”の可能性も十分にあります。入社前に調べることはできないのでしょうか。

百貨店の人事担当者は「思想・信条の調査や借金の有無については、昔は企業調査会社に依頼して調べていました。でも今はコンプライアンスの観点からやっていませんし、入社後でないとわからないのが実態」と言います。

企業内の不祥事は表に出ない限り露見しません。採用する側も大変です。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。

『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)
人事部はここを見ている!

[著] 溝上 憲文  

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