日本企業で欠かせないビジネス慣習のひとつが朝礼だ。昭和の昔、サラリーマンの仕事は朝礼、ラジオ体操、上司の精神訓話から始まった。月日が流れ、体操と精神訓話は姿を消しつつあるが、朝礼には時代を超える効用があるのだろう。いまもビジネスマンたちは朝から元気に声を出している。

1998年に創業したサイバーエージェント。いまではアルバイトも含めると5000人が働き、年間1400億円を売り上げるインターネットサービス総合企業となっている。

渋谷のマークシティにあるインターネット広告事業部に足を踏み入れて、まず驚くのはオフィス内の空間に風船がゆらゆらと揺れていることだ。よく見ると、風船には名前が書いてある。

「新入社員もしくは中途入社の社員の机の上に風船を揚げているんです。入社を歓迎する意味と、周りが名前を早く覚えるためです」

広告事業を担当する岡本保朗常務はそう解説する。口跡のいい彼は同社の朝礼についても朗々とした声で教えてくれた。

「当社は創業期から朝会という名称の朝礼をやっています。全体の朝会は月一度ですが、局単位では毎朝10分程度実施しています」

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(上)立ち見の人もいる。(下)最年少局長という坂井局の朝会。ほとんどが20代で、配属されたばかりの新入社員もいる。

現場へ行ってみると、ワンフロアに東京の広告事業部に属する約350人が集まっていた。

「朝会を行います」

岡本常務がマイクを持ち、全員に向かって話しかける。内容は3つ。前月の営業数字、当月の目標と目標数字、そして今後注力すべきポイントの解説である。

スピーチは15分ほどで終了。続いて各局の朝会が始まった。取材したのは坂井嘉裕局長(28歳)が率いる坂井局、花里俊介局長がトップの花里局。前者は最年少局長、後者は最少人数の局とのこと。坂井局は全員が立ち上がって局長のスピーチに耳を傾ける。

「……決して簡単ではないけれど、みんなで力を合わせて目標は必ず達成しよう」

さっと始まってすぐに終わり、着席したと同時に坂井局の社員たちは電話で営業先にアポイントを入れ始めた。