2015年7月6日(月)

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地方の人口が減り続けている。政府は「地方創生」を成長戦略の柱と位置づけ、地方活性化の取り組みが始まった。北海道帯広市の英会話学校「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」は1977年に開校され、多くの受講生を抱えている。学院長の浦島久氏に話を聞いた。

伸びるチャンスを奪う英語教育

【三宅義和・イーオン社長】これから日本の英語教育は大きく変わろうとしています。小学3年生からの必修になり、5年生からの本教科に入る。中学校の英語の授業は英語で教える。大学入試も技能を重視したものに変わるといわれています。そうしたなかで浦島先生は、今後の英語教育のあるべき姿と、それへの期待をどうとらえていますか。

【浦島久・ジョイ・イングリッシュ・アカデミー学院長】日本の英語教育を変えようと思ったら、たぶん、取るべき手はひとつだってずっと思っていました。それは大学受験改革ですね。ずっと大学受験は変わるのではないかという希望は持っていましたが、それは実現しませんでした。今回は変わるかもしれない。大学受験が変われば、そこまでの教育は全部自動的に変わっていきます。小学校だろうが、中学校だろうが、高校だろうが変わる。そんななかで、僕が最近ずっと力を入れているのが音読中心の学習です。

【三宅】大きな成果を出していらっしゃいますよね。

三宅義和 イーオン社長

【浦島】10年前ぐらいから音読の専門のコースをつくっていますが、そこで実感したのは、いわゆるレベル別のコースを実行するのは難しいということ。それは中学校、高校、そして大学、社会人コースでも同じです。

本来なら、同じレベルの人たちを集めてやるほうが効率いいですよね。しかし、それは無理です。大学生でもスペルさえ怪しい学生がいて、反対に優秀な人は英検の準1級で、ペラペラしゃべっている。彼らを一緒にして授業はできません。同じことは中学生のエントリーレベルでもいえます。小学生で英検の2級とか準1級とか取っている子どもがいたりするわけですから。

【三宅】帯広でも小学校が準1級をとっている。

【浦島】小学3年生でとった子がいます。そんな子がたとえば中学校に入学して、アルファベットの読み方からやるというのはかわいそうですよね。そこで、解決策が2つあると思っています。ひとつは個別学習です。これは辺地校と呼ばれる小さな学校ならどこでもやっていることです。

もうひとつは、生徒の英語力の差をうまく利用した教育の仕方でしょう。つまり一部のできる生徒を先生、教える側にしてしまう。いわゆるサブの先生になってもらって授業を進めるという形が考えられます。うちは音読コースは個別でやっています。個別だからレベルの差はまったく関係ない。やる子にはどんどんやらせる。

【三宅】先生が直接見ているのですね。

【浦島】はい。日本の英語教育が悪かったのは、せっかく伸びるチャンスがある子を抑えて、わからない子をわかるレベルまで下げて教えてやらないということです。できる生徒は可能性を伸ばしてあげたいですよね。ただこれを公の学校でやろうと思っても難しい。だけど、我々は私学ですから、それはいくらでも可能でしょう。

【三宅】なるほど。音読のクラスの素晴らしいのは「声に出して読みなさい」だけじゃなくて、きちんと何度も練習してきたものを先生の前で発表する。それから先生からの質問に答えることもある。そして、最後は自分のものになるまでやらせる。

【浦島】それが、いわゆるオピニオン。意見ですね。これは日本人が一番苦手な部分です。やってみるとわかりますが、若いときに「どうして?」って聞かれて、なかなかその理由が説明できない。だから、子どもの頃から「どんなつまらない理由でもいいから、とにかく言いなさい」という指導をしているのです。

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