昨年11月、オバマ米大統領が「ネット中立性」保護を連邦通信委員会(FCC)に正式に要請した。ネット中立性とは、ISPなどネットワーク側が、特定のアプリケーションについて提供元や内容に基づく差別・区別をせず、すべてのデータを平等に扱うべきであるという原則のことだが、その運用をめぐり米国で大きな議論が起きている。

FCC委員長のトム・ウィーラー氏は、無線通信・ケーブル業界団体の元責任者。(ロイター/AFLO=写真)

議論の要は、ブロードバンド接続サービスを「情報サービス」ではなく、より厳しい規制下にある「通信サービス」に分類するか否かだ。今年2月、FCC委員長が、モバイルブロードバンドも含めてインターネットは通信サービスに分類し、オープンネットワークを保護・強化する意向を示したが、これが実施されれば適法なコンテンツやアプリに対する不当な差別的取り扱いや接続拒否が禁止される。しかしすべてが公平になると、遠隔医療など精密な品質制御が必要なサービスの提供が不能になったりする弊害も生じる。

日本ではどうか。九州大学大学院経済学研究院教授の実積寿也氏は「電気通信事業法が機能している現状は問題がないものの、携帯電話会社が提供するモバイルブロードバンドサービスによる市場寡占化が進めば、近い将来米国と同じような産業構造になったときに同様の議論が高まる可能性もある」と予測する。