2015年6月1日(月)

365日マスク「顔を晒さない」人々の下心と弱点

プレジデント探検隊【2】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
山本 貴代 やまもと・たかよ
女の欲望ラボ代表、女性生活アナリスト

山本 貴代静岡県出身。聖心女子大学卒業後、1988年博報堂入社。コピーライターを経て、1994年~2009年まで博報堂生活総合研究所上席研究員。その後、博報堂研究開発局上席研究員。2009年より「女の欲望ラボ」代表。専門は、女性の意識行動研究。著書に『女子と出産』(日本経済新聞出版社)、『晩嬢という生き方』(プレジデント社)、『ノンパラ』(マガジンハウス)、『探犬しわパグ』(NHK出版)。共著に『黒リッチってなんですか?』(集英社)『団塊サードウェーブ』(弘文堂)など多数。

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女の欲望ラボ代表 山本貴代=文
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初夏にマスクが飛ぶように売れる

風薫る5月、地下鉄に乗り込んだときのことだ。「なぞのパフォーマンス集団に追跡されたかも」とうろたえたのは、マスクをした見知らぬ人々に囲まれたからだ。

両隣と前に座る3人で合計5人。見たところ皆顔色よく、元気そう。花粉症でもなさそうだ。インフルエンザもとうに終わっている時期である。

しばらく様子を見ていたが、彼らは知り合いではなさそうだ。携帯をいじり、本を読み、居眠りをし、思い思いに過ごしている。まさかと思ったが、両隣が降りてまた次に乗ってきた人もマスクであった。やはり、パフォーマンス集団の一員なのか……。いや違う。偶然だ。

一体この国のマスク事情はどうなっているのだ、と困惑しつつ帰宅前にふらりと立ち寄ったドラッグストアで、またマスクの「集団」に通せんぼされた。目の前に大量のマスクのセール品が、厚い壁となって立ちはだかっていたのだ。

お買い得品「息がしやすいマスク(65枚入り・398円税抜)」は、よく売れていた。

マスクは、私が子供の頃は、学校にしていくのにとても勇気がいるアイテムだった。

風邪をひいて辛くて鼻の下が真っ赤でガビガビのとき、マスクをしていくと奇異な目で見られたものだ。

あれから、ときは経ち、マスクの存在意義は変わった。

日陰から日向へ。そう、「すると恥ずかしいモノ」から、「して当たり前のモノ」へ変化したのだ。マスクをしていても、もう誰も特別な目では見ない。ハンカチ、ちり紙、マスク。そう、マスクは日常のものとなり、風邪や花粉の流行る時期は、忘れると「しまった」という気持ちにさえさせるからものすごい出世ではないか。

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