「あの4年間がなければ今頃どうなっていたか」

みちのく銀行頭取 高田邦洋氏

2013年に青森県のみちのく銀行の頭取に就任した高田邦洋氏は、「各ポジションで周りに支えられ、どんな困難にもへこたれず、結果を出してきた積み重ねが、いまの自分をつくった」と語る。

実家が農家という彼は、年長の男兄弟も多く、「家業を継ぐという選択肢はなかった。東京に出て大学に進学することは、自らの将来を自らの手で選び取るために必要だった」と振り返る。

法学部に入った高田頭取が銀行員という道を選んだのは、学生時代に清掃会社の派遣先である外資系銀行でアルバイトをしたことがきっかけだった。顔見知りとなった行員から、夏休み中に都市銀行などを回るメッセンジャーボーイの仕事を頼まれた。

「大手町や日本橋を自転車で走り回り、各所で書類を届けた証しに判子をもらうんです。一般の方が入室できない為替のディーリングルームなどの様子を目の当たりにし、『銀行員も面白いな』と思うようになった。故郷の両親に負担をかけたくないという気持ちもあり、私の学生時代はアルバイトに明け暮れる日々。自由で放任的な学風がそれを許してくれたのは幸いでした」

高田頭取は、就職活動を銀行に絞って地元のみちのく銀行に内定をもらい、1981年の卒業と同時に入行した。以後、県内各地の営業店や経営企画部などを経験し、06年に取締役となる。

「東京での4年間の大学生活がなければ、いまの自分がどうなっていたかは想像できません。日大は東京のど真ん中に校舎があり、全国から大勢の学生が集まる大学ですから、地方出身の私が社会を知るうえでのいい環境だったのでしょう」