2015年5月14日(木)

松下幸之助「金言」100回読んでも心震える理由

小宮一慶のメディア・ウオッチ【3】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
小宮 一慶 こみや・かずよし
小宮コンサルタンツ代表

小宮 一慶

1957年、大阪府生まれ。81年、京都大学法学部卒業後、東京銀行入行。86年、アメリカのダートマス大学経営大学院でMBA取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務に携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に就任。国際コンサルティングを手がける。93年、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。94年より、日本福祉サービス(現セントケア)にて、在宅介護問題に取り組む。96年、小宮コンサルタンツを設立。コンサルタント、非常勤取締役、監査役として企業経営の助言を行うほか、講演、著書を通じてビジネスマンに必要な基本スキルについて、わかりやすい言葉で指南している。明治大学大学院会計専門職研究科特任教授。近著に『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)、『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー21)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(東洋経済新報社)、『お金を知る技術 殖やす技術』(朝日新書)などがある。

執筆記事一覧

経営コンサルタント 小宮一慶=文
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今こそ松下幸之助に学ぶ、「考え方」の大切さ

新聞を読んでいると、このところ3月期決算の数字の発表が相次いでいます。その中で、以前は大きな赤字に苦しんでいたパナソニックの業績回復も注目されています。

一時は最終損益で7000億円を超す大幅赤字を出していたのが、前期決算では1795億円の純利益を出しています。車載機器や太陽光発電、さらにはファクトリー・オートメーションなどの好調が伝えられています。

経営において非常に大切なことは「企業の方向づけ」です。

名著『道をひらく』(PHP研究所)。「それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道が開けてくる」など、松下幸之助の経営・勤労哲学が存分に味わえる。筆者の小宮氏もこの本を100回以上読んだという。

「何をやるか、やめるか」ということを決めることですが、戦略です。その方向づけを誤ると、場合によっては、企業は崖っぷちにまで追い込まれ、倒産ということにもなりかねません。

戦略立案においては、企業を取り巻く「外部環境」、企業のヒト、モノ、カネなどの資源や商品、サービスなどを他社と比べる「内部環境」の分析が必要ですが、その戦略が「ビジョン、理念」に基づいていることが大原則です。

しかし、この「ビジョン、理念」の大切さを本当に分かっている経営者は、経営コンサルタントとして経営の現場を見ている私からすれば、残念ながらそれほど多くありません。しかし、逆に、この大切さが分かりそれを徹底した経営者は、大成功を収めることも少なくありません。

「ビジョン、理念」において、その中核をなすのは、企業の存在意義、つまり「目的」です。ピーター・ドラッカーも「事業の定義はその目的からスタートしなければならない」と言っています。

「目的」とは、何のためにその事業を行うかということです。それがしっかりとしていないと、経営がぶれるし、経営者はじめ、働く人に使命感が持てないからです。

▼松下幸之助が「会社の命」を知った日

パナソニック(旧松下電器産業)の創業者・松下幸之助さんは、自社が何のために存在しているかという存在意義をはっきりと認識した年(1933年)を「命知元年」として、創業記念式典まで行っています。

実際の創業から14年も経ってのことですが、それだけ自社の存在意義や事業のあるべき姿が分かったことが松下さんにはインパクトが強かったということでしょう。論語に「五十にして命を知る」という言葉がありますが、まさに自身や自社の命を知ったということだと思います。

そして、この「命を知る」ということもそうですが、松下さんは企業経営において、「考え方」や「姿勢」というものをとても大切にされていたことがうかがえます。

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