結果的に従来の体温計とは違うユニークな形になりましたが、使いやすさと機能性によって表れた必然のフォルムだと自分では感じています。

2004年にこの「けんおんくん」が発売されてから、13年にはモデルチェンジをしましたが、形のイメージはほぼそのまま。通常、工業製品の開発では新商品は新しいデザインで登場します。しかし、この「けんおんくん」は最初の発売から10年経った今でも同じ姿で存在しています。それは、この体温計に関わった開発チームの一員として喜びと誇りを感じるところです。

9年間で累計販売台数680万本超!

2004年に30秒で予測検温するMC‐670を発売。柔らかな形状と大きな表示、平らな先端部分で、体温計のイメージを刷新した。13年のリニューアルまで、9年間の累計販売台数は680万本以上(写真は20秒予測検温の後継モデル、MC‐681)。ほかに赤ちゃん向けのタイプなど、全11種がある。

柴田 文江(プロダクトデザイナー)
武蔵野美術大学工芸工業デザイン科卒業。東芝デザインセンターを経て、Design Studio S設立。代表作に、無印良品「体にフィットするソファ」、カプセルホテル「9h(ナインアワーズ)」。グッドデザイン賞金賞、ドイツiFデザイン賞金賞、毎日デザイン賞など多数受賞。
(構成=矢倉比呂 撮影=佐藤新也)
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