京セラ発のフィロソフィと部門別採算制度という2大稲盛メソッドを国内外のあらゆる企業・団体が採用している。加速度的にコストが下がり、飛躍的に業績が上がる奇跡の現場に密着。
平和堂社長 夏原平和氏●1944年、滋賀県生まれ。68年同志社大学法学部卒、平和堂入社。70年取締役、75年専務、83年副社長。89年より現職。

若手経営者が集まって稲盛さんの経営哲学を学ぶ勉強会「盛友塾」ができたのは、約30年前のことです。盛友塾は盛和塾と名前を変え、国内54塾、海外16塾、計7800人の大組織になりました。私はごく初期の頃から塾長の稲盛さんの謦咳に接してきた一人でもあります。

しかし、長く勉強していることと塾長のフィロソフィーを血肉化できていることは、決してイコールではありません。塾長はいつも、こう言います。

「これも勉強した、あれも知っている。それだけでは勉強したことにはならない。勉強は、実践してみて初めて値打ちを持つ。もっと真剣に勉強せんかい」

そんな塾長の言葉を実感する出来事がありました。

2012年9月15日――。

平和堂は中国湖南省に3つの百貨店を出店しています。そのすべての店が、暴徒によって略奪され、破壊されたのです。

15年前、平和堂が湖南省に出店を決めたのは、本社のある滋賀県と湖南省が姉妹都市の関係にあったからです。これまでにも小さなトラブルはありましたが、いずれの場合も省や市が率先して守ってくれ、大きな問題にはなりませんでした。それなのに、なぜ今回だけ。にわかには信じがたい思いでした。