疑問や関心に、さらに一歩踏み込めるか

『グッドリスクをとりなさい!』宮内義彦著(プレジデント社)

社会人にとってまず必要なのは、「情報を集め、考える」ことです。つまり勉強が不可欠ということなのですが、ここで大事なのは世の中のことにどれだけ興味をもつかということだと思います。

世の中のことに興味を持ち始めると、自分の知らないことがあまりにも多いということに気づきます。自分の周囲、世の中がどうなっているのか、自分が勤めている会社がどうなっているのか、自分がやっている仕事は社会の中でどう位置づけられるのか、と疑問とともに関心も広がっていきます。

さまざまなことに疑問や関心を感じても、そこで終わってしまうのか、それともそこからさらに一歩踏み込んでいくのか。もし、さらに踏み込もうとすれば、勉強しなければならないことは山ほどあることに気づくでしょう。

では、どこから取り組んでいくか。やはり、まずすべきことは、自分に与えられた仕事の分野でその専門性を高めていくということでしょう。例を挙げるなら、入社して経理部に配属されたとします。いきなり会社の決算を全部任せられることなどありえません。○○支店の経理を見ろ、といったところから始まります。

目の前の仕事をきっちりこなすのはもちろんですが、やれといわれたことは人より深く掘り下げていこうとする姿勢が大切です。そうすることで会計に関する知識が身につくとともに、会社全体の財務状況への理解も深めていくことができます。そこで大切なことは、短期集中でやるのではなく、じっくり腰を据え、前向きに構えて取り組んでいくことです。そうすることで、応用力のきく真の実力が身につきます。

また、専門性を高めるといっても、社会の中で仕事をしていると、自分はAの分野が専門だからAだけ知っていればいいというわけにはいきません。BやC、あるいはDについても知っておく必要が出てきます。本当に知ろうとすればその守備範囲はどんどん広がっていくものです。そして、それが自分の視野を大きく広げることにも役立つはずです。