現場を肌で“体感”することも大切

さて、新人と呼ばれるあいだは、現在の業務に関わる専門知識を深めることに集中すべきですが、やがてある部門を任され部下を率いていくような立場になってくれば、今度は「大局観」も必要になってきます。つまり、世の中全体を見渡し、時代の流れのなかで会社や自分の携わる事業部門がどんな状況に置かれているかを俯瞰し、自分たちがどこに向かうべきかを決断できる感性を磨くということです。

会社組織では上に行けば行くほど、会社の社会における立ち位置を見誤らないようにして、決定を下していかなければなりません。それこそトップともなれば、専門性よりも、今後進むべき方向をしっかりと見据え、的確なジャッジを行うための大局観が重要となってきます。

では、大局観はどのようにして身につけたらいいのか。

ここでも大切なことは、一にも二にも勉強、ということです。世界の歴史をひもとき、さまざまな情報を駆使して現在の世界をしっかりと見る。たとえば、地球の環境問題を正しく捉えようと思うなら、まず宇宙のことを学び、その上で地球を見ることも必要になります。それくらい全体の流れや変化を大きく捉えないと、判断を誤ることになりかねない。

大局観を養うための具体的な方法としては、本を読んだり、人と会って話したりといったことが挙げられますが、そのうえで自分が仕事で携わっている現場に立ち返り、現実の営みを肌で感じ取ることも大切です。

近年は情報化が進み、状況を判断するためのさまざまな材料を目や耳から吸収することも可能です。しかし、現場を“体感”することはさらに重要なのです。時代の流れや社会の変化を大きく捉えるには、場合によってはメディアなどから得られる、きれいに整理された情報は思い切って全部捨ててしまうことも必要かもしれません。

※本連載は書籍『グッドリスクをとりなさい!』(宮内義彦 著)からの抜粋です。

宮内義彦(みやうち・よしひこ)●オリックス シニア・チェアマン。1935年、兵庫県生まれ。58年関西学院大学商学部卒業。60年ワシントン大学にてMBAを取得後、日綿實業(現双日)入社。64年オリエント・リース(現 オリックス)に転ずる。70年取締役を経て、80年社長兼グループCEOに就任。2000年会長兼グループCEO、14年より現職。ACCESS取締役、ドリームインキュベータ取締役も兼務する。
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