「大企業なら一生安泰」という時代は終わった。いまは薄給の小さなベンチャーが大化けする可能性も。これから入るならどんな企業がお得なのだろうか。

予測2●現在低めでも今後上がる!? 
キーワードは「軽薄短小」サービス、観光、医療、農業

現在低めでも今後上がる企業

低賃金の代表といえばサービス業だ。しかし私は20年に向けて、いま低賃金のサービス業こそ上がっていくべきだし、上げるための政策が必要だと考えている。

理由は2つある。1つは、これまで日本経済を成長させてきた製造業の「成長産業」から「成熟産業」への転換である。かつて製造業で世界を制覇し、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた日本。しかし国内市場はすでに飽和し、海外展開を進めなければ成長は望めない。製造業に関していえば、国内は空洞化していくだろう。

もう1つはGDPの観点だ。日本は先進国のなかで賃金格差がもっとも大きい国である。大企業に正社員として勤務している男性の給与は高い半面、中小企業の社員や派遣社員、パート・アルバイトで働く若者や女性の給与が安い。

しかも、日本では賃金の高い人ほど給与のうち消費に回す金額の割合が低く、賃金の低い人ほど割合が高いというデータもある。個人消費は日本のGDPの6割程度を占めているのに、給料の高い人ほど消費せず貯蓄に回す。一方で、お金を使いたい、使う必要に迫られている人たちは、十分な給与が得られていないというわけだ。

中小企業の社員や派遣社員、パート・アルバイトの賃金を上昇させれば、全体として消費に回るお金が増える。業種でいえば、賃金の低い人たちが多く従事するのは飲食業や観光サービス、レジャー施設など。こうした業種で働く人たちの雇用を安定させ、賃金を上げる政策の実施が必要といえる。第1の理由にも挙げたように、サービス業は日本の新たな成長産業の柱でもあり、サービス業を育てることは日本経済の成長の活路なのである。

サービス業のなかには、会社自体は儲かっているのにスタッフの給与は安い、という企業も見られる。たとえばディズニーランドを運営するオリエンタルランドは業績好調で、13年3月期の売上高は3955億円で前期比9.9%増、営業利益は815億円で同21.7%増となっている。従業員の平均年収は772万円だが、現場で働くスタッフの賃金はもっと安い。

法によって最低賃金を大幅に上げるといった、これまでの賃金の常識を打ち破るような政策を期待している。そうした政策が打ち出されれば、儲かっているのに給与の安い企業で、賃金の大幅な底上げも実現できるだろう。

国際金融コンサルタント 菅下清廣(すがした・きよひろ)
1969年立命館大学卒。大和証券、メリルリンチ、ラザードジャパンアセットマネジメント日本法人社長等を経て98年独立。マーケットを予測する「スガシタレポート」が好評。最新刊は『ゼロから富を作る技術』。