その発言に各国の政府関係者から市場関係者までが注目する「世界のオピニオンリーダー」。アベノミクス、金融緩和、消費税再増税……プレジデントの独占取材にクルーグマン氏は自宅で答えた。
女性活用が遅れた日本にチャンス
ポール・クルーグマン氏
私が昨年11月上旬に来日していたときに黒田日銀総裁は「物価安定の目標を早期に実現するために、できることは何でもやる」とデフレ克服に向けて強い決意を表明した。今日本にとってもっとも必要なことはデフレマインドに戻らないことだが、企業が低価格戦略を打ち出さないことも重要である。国民がインフレマインドにならない限り、消費は伸びない。消費が伸びないかぎりデフレから完全に脱却することはない。私が一番恐れているのは、先述した「臆病の罠」状態だが、少なくとも黒田氏はその罠に陥らないように「サプライズ追加緩和」を発表した。
女性活用については、黒田氏が2014年5月24日付のウォールストリート・ジャーナルのインタビューで述べている。「経済成長を高めるにはさらに3つの変革が必要だ」として、「一つは民間セクターが資本投資(設備投資)をもっとする必要がある。2つ目は労働力はもっと高齢者層と女性を参加させる必要がある。3つ目は生産性を上げるために規制緩和と構造改革が必要である」と言っている。女性の活用については安倍首相も強く奨励しているが、考えてみると日本で女性が労働力に参加するのがこれほど遅れていたという事実は、むしろ近い将来女性がもっと参加することで潜在成長率がかなり伸びるチャンスがあるということである。これはある程度移民を受け入れることにも当てはまる。アメリカでは女性はすでに重要な労働力になっているので、もっと女性を労働力に入れると言っても景気はそれによってよくならない。日本が欧米化するのは文化的に難しいと思うが、日本には最善の結果を期待している。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
(最初の7日間無料・無料期間内はいつでも解約可)
プレジデントオンライン有料会員の4つの特典
- 広告非表示で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント
