その発言に各国の政府関係者から市場関係者までが注目する「世界のオピニオンリーダー」。アベノミクス、金融緩和、消費税再増税……プレジデントの独占取材にクルーグマン氏は自宅で答えた。
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2014年10月31日付の『ニューヨーク・タイムズ』にクルーグマン氏が寄せたコラム「日本への謝罪」

私は昨年10月31日付のニューヨーク・タイムズに“Apologizing To Japan”(日本への謝罪)というコラムを書いた。主旨はこうだ。

日本はバブル崩壊後、1990年代の初頭から20年間スランプを経験した。いわゆる「失われた20年」と呼ばれる時期だ。バブルが崩壊して10年近く経った98年、私は「復活だあっ!」という論文で日本経済の問題を分析した。そこで「流動性の罠」の説明をした。それは中央銀行が金利をゼロまで下げても金融政策としては十分ではないという状態だが、FRB(米連邦準備制度理事会)前議長のベン・バーナンキも日本政府に果敢な決断をするように2000年に論文を発表した。私もバーナンキも日本政府の政策が不十分であると痛烈に批判したが、実は西洋と比較するとまだましであると言いたかった。ある意味では我々には日本を痛烈に批判する資格はなかったかもしれない。ということで、私は「日本に謝罪する」というコラムを書いた。要するに自分の国や欧州のことを棚に上げて日本を批判したことに対する謝罪ということだ。

日本で話題になっているこのコラムは、欧米が日本の失策から学ぶべきことを学ばずに日本よりもひどい失策をしたことに対する反省と皮肉を込めて書いた。日本はかつて「反面教師」であったが、西洋が大失態をしたので、それどころかロール・モデルに見える。アベノミクスが奏功すれば、世界中の国は日本こそがまさにロール・モデルになることを認めざるをえないだろう。

私はアベノミクスを支持してきた。それだけに、安倍晋三首相が2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを先送りする方針を固めたというニュースを耳にして、ほっと胸をなでおろした。日本は消費税増税の第二弾を実行するかどうか、与党内でも真っ二つに分かれている。私は昨年11月6日、首相官邸で安倍首相に直接進言する機会を与えられ、今はその時期ではないと、延期するように伝えていたからだ。

私は日本経済に期待してやまない。日本の行方を「金融緩和」「円安」「女性活用」の3点から展望しよう。