2014年11月14日(金)

はとバス個性派企画は「3つのお題の組み合わせ」で完成

ヒットを生んだ着眼点【はとバス】

PRESIDENT 2013年11月4日号

川口昌人=構成 相澤 正=撮影
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パーツを組み合わせてストーリーをつくる

はとバス・江沢伸一氏(はとバス定期観光部副部長) 1992年はとバス入社。関連会社で商品企画を担当後、98年はとバスエージェンシー出向。2009年より現職。

私たちの仕事は、料理人のようなものだと考えています。たとえば目の前に肉があったとしたら、それに野菜だとか、魚だとか、そういう別の素材を組み合わせて、お客様に驚きや感動を与える1つのストーリーをつくっていく感じでしょうか。

たとえば、4年前に開発して以来ずっと満席が続いている「話題の川崎工場夜景スポット」コースを例にとってみます。これは私が、ゴルフ帰りに高速道路を走っていて、ふと目にした工場の灯りが美しかった体験から生まれた企画でした。一部の愛好家の方々を除くと、「工場夜景」という言葉がまだあまり知られていなかったころの話です。

美しい夜景というのは、それだけでも素晴らしいものですが、商品にする場合にはもう一段も二段も手を加え、工夫する必要があります。まずは川崎市に「こうしたコースを考えている」とオファーしたところ、非常に乗り気になっていただきまして。市を通じて港湾当局や工場をお持ちの企業の皆様のご協力をいただき、通常は入れないポイントまで入って見学ができるようにしていただきました。

さらにコース全体は夜景評論家の丸々もとおさんの監修をいただき、観光協会を通じて、川崎市を中心にお住いの方に「夜景ナビゲーター」をお願いしました。夜景といっても工場ですから、すべての照明には安全上・機能上の意味がちゃんとあります。そこで、このオレンジ色の照明にはどんな効果があるとか、この工場の照明の色にはどんな意味があるのか、といった解説をしていただくんです。ここでバスガイドでなく、川崎市を愛している方に心をこめて語っていただくことにしたのも、私たちのこだわりです。

迫力ある工場の夜景、しっかりした解説、普段は立ち入り禁止のポイントにも入れる特別感。これらの3つのパーツが組み合わされて、1つのストーリーが形づくられていくわけです。社内的には当初の反応は半信半疑というところでしたが、メディアでの広報もしっかり行ったせいか、あっという間に3カ月前に予約が埋まる人気企画になりました。

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