――鈴木社長の掲げる構造改革、発展戦略とは。

【鈴木】構造改革は単なる不採算部門の縮小ではなく、ビジネスそのものを根本から変えること。それには、まず自社の強みを見極める必要がある。不要な部分を削り、強みに磨きをかけて、持続的に収益を獲得できる体質にする。

一方、発展戦略は、明らかに優位性がある高機能素材、ヘルスケア、ITの3領域に力を入れながら、これらを掛け合わせた融合領域で積極的に新事業を創出していく。

また、炭素繊維複合材料の量産自動車への実用化を進めているが、単に素材を自動車メーカーに提供するのではなく、こちらで自動車に近い形にして納入することになるだろう。今までなかったビジネスモデルも取り入れ、単なる素材メーカーから、顧客価値を高めるソリューション提供企業に変えていきたい。

――サッカーの経験は仕事にも活かされているか。

【鈴木】勝つには、個々のメンバーの能力が高いことと、全員がチームの目標と戦術を理解していることが不可欠であり、それは会社も同じだ。個人的には、イギリスやオランダに赴任した際、地元のサッカーチームでプレーしたおかげで、英語が上達したと思っている。

帝人代表取締役社長執行役員CEO 鈴木 純
1958年、東京都生まれ。83年東京大学大学院理学系研究科修了後、帝人入社。2012年4月帝人グループ執行役員、マーケティング最高責任者。13年4月帝人グループ常務執行役員、高機能繊維・複合材料事業グループ長、6月取締役常務執行役員。14年4月代表取締役社長執行役員CEO。

出身高校:都立西高校
長く在籍した部門
:医薬事業
座右の書(または最近読んだ本)
:『右利きのヘビ仮説』
座右の銘
:一期一会
趣味
:サッカー

(山口雅之=構成 的野弘路=撮影)
【関連記事】
「ブランド立て直し」資生堂新社長 魚谷雅彦
「幹部15%」の枠に入れる人、落ちこぼれる人
若手からOBまで、帝人式・徹底の「人財」育成法
取締役少人数化でますます狭き門に
カリスマ社長の「言葉・声・表情・しぐさ」を科学する