二世帯住宅には多くのメリットがある。子が親のそばに住むことで、高齢者を狙った犯罪を防ぐことができるし、建て替えにより、体の弱った親をバリアフリーの快適な住まいに住まわせることもできる。親が病気になっても子がそばにいれば安心だし、子にとって自分の子供を親に預かってもらえるのもありがたい。

その半面、あらかじめ先のことまで考えて建てないと、親の死後にトラブルを招きやすいことも事実だ。

二世帯住宅には完全同居型、一部同居型、完全分離型がある。多数を占めるのは、キッチンなどこだわりのある設備は2つに分け、その他のスペースを共有する一部同居型。合理的だが、両親が亡くなれば2つのキッチンやバスルームが無駄になり、空いた部屋も貸し出せない。かといって、お互いに行き来できない完全分離型は、相続税の圧縮に繋がる「小規模宅地等の特例」が適用されるか否かが明確でなかった。

現在、二世帯住宅では、建築費についても親の援助をあてにする子が多い。子が住宅を建てたり買ったりする際、通常で700万円、省エネ住宅なら1200万円まで、親が非課税で資金を援助できる制度がある。しかしその前に、親はきちんと自分のライフプランを設計し、老後の生活資金を確保しておく必要がある。

また、子に兄弟がいる場合、二世帯住宅を建てると、親の最大の財産である土地を1人で占有してしまうことになる。親の死後、財産をどう分配するか、きちんと決めて子供たちの同意を得るべきだろう。