近道は「自分のフリ見て、わがフリ直せ」

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何がダメなのか

自分がモテないと思ってしまうと、悪循環が起こってしまいます。「女性と何を話していいのかわからない」→だから「黙る」。あるいは「余計な話をする」→そして「嫌な人だと思われてしまう」。このような悪循環が起こり、モテない人は、さらにモテなくなってしまいます。このような悪循環があると、モテない人はますますモテないようになってしまいます。

問題を解決すること、つまり、「黙る」あるいは「余計な話をする」という行動を改善することができれば、この悪循環を断ち切ることができるのです。自分の行動を修正するためには、どうしたらいいのか。「ビデオカメラ」で客観的に自分の行動を撮り、「誰もが認めることのできる行動の事実」を認識してはどうでしょうか。自分の行動をビデオで撮影してもらいます。次に、自分の行動の悪い部分を、周囲の人に指摘してもらいます。これを行動のモニタリングと言います。そして、良い行動の見本をひたすら練習します。これを行動のリハーサルと言います。

実際にスポーツの世界でも、より強くなるために「ビデオモニタリング」の手法が使われています。例えばテニスでも、スランプに陥っているときに、コーチが「ひじが上がっている」や「脇を締めて振れていない」などと指導します。そんなことはないと自分では否定するのですが、自分のフォームをビデオモニタリングしながらフィードバックされるとどうでしょう。すると、どこを直さなければならないのか痛いほどわかり、スランプの原因が明確になるのです。

問題の行動を改善するために、ビデオモニタリングを用いて、「フィードバック」→「モデリング」→「リハーサル」→「般化」をしていきましょう。

人に言われただけではなかなか気づかない自分の所作は、自分の目で客観的に確認することが、解決への第一歩です。仕事でミスをすると、上司に「おまえはもっとやる気を出せ」や「お客様に対する愛情が足りないんだ」と、人格から否定されてしまうケースが多々あります。それでは、怒られた嫌な感情が残るだけで、仕事上のミスは直らない。

ビデオモニタリング法は、恥をかかせるためのものではなく、新しい行動のモデルを見せて、それを習得させる練習のためにあります。よき部下を育てるには、よきコーチ(指導者)が必要です。スキルの習得には個人差があることを認識しつつ、部下の行動のどこがダメなのか、具体的な指導をしていくことが大切なのです。

桜花学園大学大学院客員教授、専門行動療法士・臨床心理士
奥田健次

兵庫県生まれ。発達につまずきのある子とその家族への指導のために、全国各地からの支援要請に応えている心理臨床家。著書に『メリットの法則―行動分析学・実践編』など多数。
(構成=牧野めぐみ 撮影=奥谷 仁)
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