消費税増税法案が可決された2012年、もしくはそれ以前から、消費税増税による日本経済への影響は甚大とする客観的かつ冷徹な分析をする声は、主流派から排除されてしまったようだ。

とはいえ、実体経済の状況を示す経済指標は嘘をつかない。内閣府は14年4~6月期の国内総生産(GDP)速報で物価変動を除く実質で▲1.7%、年率換算で▲6.8%の大幅低下を発表した。増税の影響を楽観視してきた向きにとって完全な「想定外」であるわけだが、発表間近になるとGDP予想を下方修正し、無理やり「想定内」とする手の込みようである。

マスメディアの報道からはわかりにくいが、今回のGDP速報以前にも4月の増税以降、経済指標の悪化は続いていた。実質賃金のうち固定給となる「きまって支給する給与」は3カ月連続の▲3%台。消費者に実際の納税義務が発生しない以上(納税者は事業者)、消費税は税金というよりも政府による物価上昇統制となる側面がある。消費税で物価が3%上がる中で賃金が上昇しなければ、実質の手取りは増税分がそのまま下がる。所得が上がらなければ、GDPの6割を占める民間消費に回るとは考えにくい。駆け込み需要によって3月の消費支出が39年ぶりの前年同月比7.2%増となったとは華々しく伝えられても、4月は東日本大震災の発生した11年3月(▲8.2%)以来、3年1カ月ぶりの大幅下落▲4.6%、5月は過去33年間でワースト2位の▲8.0%という数字については報道では影を潜めてしまう。

さらに、GDPの2割弱を占め民間の設備投資の先行指標とされる機械受注(船舶・電力を除く民需)は、4月が▲9.1%。5月は▲19.5%とリーマンショック時をはるかに超える過去最大の減少幅だったのは周知の通り。これではGDPの事前予想も下方修正せざるをえない。これだけ悪い指標が続けば、15年10月の10%増税にひた走ることは不可能だ。本来こうした予想は増税前にすべきもの。専門家がバイアス抜きの主張ができない、あるいは主張をしてもかき消される現状が日本社会の構造の中にあるとすれば、適正な経済政策の運営は難しい。