自分の贅肉も削減できないヤツ

実は下流の特徴はもうひとつあって、それは「欲望をコントロールする力が弱い」ということだ。彼らは「いま、すべきこと」よりも、「いま、自分がやりたいこと」を優先させてしまう。だからこそ太るし、だからこそ所得が低いのだが、それが本当に心からの欲望なのかといえば、決してそうではない。

彼らは企業の販売戦略に踊らされているだけだともいえる。いまは24時間、そこかしこで食べ物を売っているし、どこを向いても広告が目に入る。よほど意思を強く持たなければ、易きに流れてしまう。こんな世の中では、いつ肥満への坂道を転げ落ちてもおかしくない。

しかもいまや太っていることで、能力や人格まで、実際より低く見られることすらあるのだ。

もともとアメリカでは「太っている人は自分の体も管理できない人。ゆえにデブは管理職失格」という見方があった。日本でも、厚労省がメタボ対策を打ち出したこともあり、これからはますます「おデブ=ダメ人間」のような判断をされることが一般的になるに違いない。となれば腹にでっぷり脂肪のついた部長が「ムダを削減しよう」と言ったところで、説得力がない。「自分の贅肉も削減できないヤツが、何を言ってる」となる。すでに政治家への評価は政策云々よりも、見た目が重視されるようになってきている。

もし小泉純一郎があんなにスリムでなかったら、どんなに改革を訴えたところで、「その前におまえの体を改革しろよ」と言われるのがオチだったかもしれない。元トリンプの吉越浩一郎氏やワタミの渡邉美樹氏がリーダーシップを発揮できるのも、スマートな体形によるところが少なくないのではないか。