家事は稼ぎが少ないほうが担当

楽天のマネジメントの特徴は、最初に驚くような高い目標を掲げてしまい、後からそれを実現させるための方法を考えていくところにありました。社内ではそれを「因数分解する」と言っていましたが、大きな目標の中身を細かく分け、小さな数値目標へと変えていくんです。例えば3カ月で達成すべき数値目標があれば、1カ月で33%、1週間では約8%、という具合に。とにかく大きな数字を小さな数字にして、日々それを乗り越えることで、市場のないところにも市場をつくり出す――それが楽天という企業でした。

あの会社から起業家が多く輩出されるのは、その体験が「やる気」ならぬ「やれる気」を育むからだと私は感じます。プロセスが一度血肉化されると、どんな目標が与えられても「考えればできるんじゃないの?」とまず思うようになる。その意味では楽天のやり方には、自分のいる職場が強烈な成長を遂げる場所でなければ、何だか物足りなくなってしまうという副作用があるのでしょうね。だから起業したくなってくる。

会社が大きくなるのは悪いことではありませんが、当の楽天でも組織が大きくなるに連れて、一人一人の業務が定型化し、責任範囲も細分化していきました。それが嫌だったし、企業が成長していくその真っ只中で今後も働きたいと思っていたので、別のベンチャー企業に一度行った後、イノーバに参加することになったというわけです。

私がこれまで生きて来た世界はすべてベンチャーなので、男も女も本当にないんですよ。「女らしさ」なんて関係ないですし、成果を出している奴が一番偉いっていう環境はやっぱり居心地がいいですよね。だから、家庭でもうちの家訓は「働かざる者食うべからず」ということで、夫婦で稼ぎの少ない方が家事を担当する取り決めをしてあります(笑)。

私ね、いつもそんなふうな姿勢で生きているので、VC(ベンチャーキャピタル)の人に「ブルドーザーみたいな人だね」と言われるんですよ。でも、だからこそイノーバは自分に合っているんです。宗像さんは遠くを見ながら論理的に戦略を分析していくタイプの経営者なので、私みたいに足下を固めてどんどんお金にしていこうとするタイプとは噛み合いやすい。お互いに得意分野が異なっていて補い合えるし、ビジネスって絶対にその両方が必要ですからね。

イノーバ:主力事業はコンテンツマーケティング。コンテンツマーケティングとは企業がメディア企業のようにウェブサイトなどを通じて情報を配信し、製品に自然と興味を抱いてもらおうとする新しいマーケティング手法。設立2011年。社員数20人。
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