「厚生労働省の試算では、団塊世代の高齢化に伴い2025年には病院のベッド数が足りず、45万人の死に場所がなくなります。このままでいいのでしょうか。看取りは英語でデス・ウオッチ。日本人に求められているのは、死を見つめ、死に逝く人を抱きしめて命のバトンを受け取る作法を共有することだと思います」

一般社団法人「日本看取り士会」会長の柴田久美子さんがそう語る。看取り士とは、余命宣告を受けてから納棺まで在宅での看取りを支援する職業。尊厳ある最期を迎えられるよう本人と家族、医師らと相談し24時間態勢で寄り添う。

「介護職員初任者(旧ホームヘルパー2級)以上の資格が必要ですが、公的な資格ではありません。私が実施する2週間の合宿の養成講座で、自宅での看取りの作法や死生観などを学びます」(柴田さん)

日本看取り士会認定の看取り士は全国に34名。まだビジネスモデルとして確立されていないため大半の看取り士が看護師や介護士など別の職業を持っている。

その看取り士による初の全国大会が今年8月24日午後2時から東京・新宿区の四谷区民ホールで開かれる予定。この取り組みに共感する企業や医師、介護士、市民やメディア関係者らでつくる実行委員会(委員長・奥健一郎鹿児島大学教授)が主催。看取り士と支援者、市民らが集い、在宅での看取りのあり方などを考える。

柴田さんは外食産業を経て介護の世界に入り02年に看取りの家「なごみの里」を島根県に設立。高齢者1人に介護者3人の態勢で寄り添う24時間の介護と、胃ろうなどを行わない自然死での看取りを実践。また看取り士を養成する一方、ボランティアによる看取りサポートチーム「エンゼルチーム」を結成し、看取り士との連携による終末期の暮らしの新たなモデルを立ち上げた。柴田さんが言う。

「日本人の8割は自宅で死ぬことを望んでいますが、少子化で在宅介護を支える“家族力”が不足しています。しかも病院死が多く、人が死ぬところを見たことがない人がほとんど。これでは在宅で看取るのは難しい。全国大会をステップに看取り士の活動を多くの人に知ってもらいたい」