経済産業省出身で首相秘書官の筆頭格(政務担当)、今井尚哉(たかや)氏への風当たりが強まっている。元々、今井氏に対しては「今井秘書官が首相の来客を差配しており、彼の許しがないと首相に会えない。霞が関の官僚も今井氏に嫌われないよう今井詣でをしているが、いったい何様のつもりか」(自民党議員)といった不満が以前から政官界に渦巻いていた。

それに加えて、安倍政権の成長戦略を巡っても、首相の参謀である今井氏と関係省庁との軋轢が高まる一方という。

「1月のダボス会議での基調講演で、安倍首相が成長戦略の柱としてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の改革や法人税減税に言及したのは、今井氏が知恵をつけたため。今井氏は、GPIFの株式運用本格化と法人税減税について反対の厚生労働省、財務省と対立している」(全国紙政治部長経験者)

オバマ米大統領の来日で日米間の最大のテーマになったTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉についても、今井氏の“暗躍”が取り沙汰されている。

「新聞各紙がTPP日米合意見送りと書く中、読売新聞が“実質合意”と大々的に報じて話題になったが、読売のネタ元と囁かれているのが今井氏。首相が靖国神社参拝を強行して以来、日米間はギクシャク続き。そこで今井氏が、TPP実質合意による日米関係改善をアピールしたいという首相の意を汲んで読売側に“日米共同声明には盛り込まれなかったが実質的には合意している”とリークしたのでは、と言われています。読売の渡邉恒雄グループ本社会長と首相は極めて懇意の間柄ですしね」(官邸詰め記者)

今井氏は今井敬・元経団連会長の甥。第1次安倍政権で事務担当の首相秘書官を務めて首相の信頼を獲得。第2次安倍政権誕生に伴い、資源エネルギー庁次長から政務担当の筆頭首相秘書官に就任した。経産省事務次官の有力候補だった今井氏は「経産省には戻らない」と宣言して安倍首相の元に馳せ参じたとされる。

「ところが今、官邸内では“今井氏が反対したのに首相が靖国参拝したため隙間風が吹いている”“今井氏はやはり事務次官になりたいと思い直し、経産省に帰りたがっている”という話が広まっている」(官邸筋)という。真偽は不明だが、目の上のたんこぶを官邸から追い出したい勢力がいるのかもしれない。