磯貝さんは国税庁に反省の姿勢を示して税金をまけてもらおうと考え、半年分以上家賃を前払いしてあった六本木ヒルズレジデンスを引き払うことにした。が、国税庁は甘くなかった。
09年4月1日に地検への告発が報道されてから1カ月後、磯貝商店の事務所の2階の片隅の2畳ほどのスペースで寝起きする生活に移っていた磯貝さんの手元に、六本木ヒルズクラブから会員資格停止の通知が届いた。「それからしばらく、食事は吉野家、サイゼリヤなどのローテーションを繰り返していました」と磯貝さんは話す。
10年3月31日、磯貝さんはさいたま地裁で懲役1年6月、執行猶予3年、罰金3500万円の有罪判決を受ける。国税庁からは所得税1億6000万円のほか、重加算税6000万円、それに所得税に対する年14.6%の延滞料の納付を求められた。「延滞料は毎日5万円も加算されていく計算でした。本業で稼いで返していくしかありません」と磯貝さんはいう。
磯貝清明さんのハイ・アンド・ロー資産形成人生
[1998年]父親の死亡保険金1000万円で商品取引を始め、半年でパーに。
[2004年]FXの勧誘を受けて、100万円を元手にドルを10万ドル購入。
[2005年]FXの利益が1200万円に。六本木ヒルズクラブに入会。
[2006年]値動きの大きいポンドへの投資に傾斜してFXの利益が1億円超。六本木ヒルズレジデンスの住人に。
[2007年]7月時点で1億ポンドの買いポジションを持ち「日本一ポンドを持つ男」と呼ばれる。資産は10億円。しかし、サブプライム・ショックなどで9月には資産が3000万円へ激減。
[2008年]10月9日にマルサの強制捜査を受ける。六本木ヒルズレジデンスを退去。2畳間で寝起きする生活へ。
[2009年]4月1日に脱税容疑で東京地検への告発が報道されたことを受け、六本木ヒルズクラブの会員資格停止。
[2010年]3月31日にさいたま地裁で有罪判決を受ける。所得税1億6000万円のほか、重加算税6000万円、罰金3500万円を払うため、本業の金属スクラップ販売で汗を流す日々に。