2014年4月1日(火)

採用責任者座談会「こんな大学、こんな学生はいらない!」【1】

しごとの未来地図

PRESIDENT 2014年4月14日号

著者
中原 淳 なかはら・じゅん
東京大学大学総合教育研究センター准教授

中原 淳1975年、北海道生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員などを経て、2006年より現職。著書に『職場学習論』『経営学習論』『プレイフル・ラーニング』(共著)など。

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東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原 淳 構成=井上佐保子
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大学生の就職活動について、後ろ倒しになる傾向が続いています。2016年卒の大学生からは、就職活動の解禁時期が現行の3年生の12月から3年生の3月へ繰り下げられることになりました。

ところが、このことによって「他社に出し抜かれるのではないか」という危機意識を持つ企業が増え、採用活動が水面下でかえって「前倒し化」され、解禁時期以前から非公式な形での採用活動が始まるなど「アングラ化」し、その入り口も多様になり「マルチルート化」していくのではないか、と筆者(東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原 淳)は予想しています。

そこで、最新の企業の採用活動の実情を探るべく、人気企業の現役の採用担当者の方々に集まっていただき、「覆面座談会」を敢行。集まっていただいたのは採用人数100~200名という就職人気企業3社の採用担当者、IT企業Aさん、人材サービス業Bさん、製造業Cさんです。PRESIDENT誌2014.4.14号「採用責任者座談会『引き抜き合戦の舞台裏』」で掲載できなかった部分も含め、劇的な変化の渦中にある採用現場からの声をお届けします。

欲しい人材はスーツを着ていない

【中原】最近の採用活動で変わってきたと感じることはありますか?

【Aさん】今までのやり方では欲しい人材が採れない、ということですね。ウチはIT企業なので、会社の将来を支えるためには、とにかく優秀な技能を持ったエンジニアが欲しい。ですが、そうした学生はちょっとアプリをつくってAppストアに上げれば適当に稼げてしまうわけで、正社員として働くことにあまり興味はなく、ピシッとリクルートスーツを着て就職セミナーに来たりはしないんです。だからもう、今までとは仕掛ける網からなにから全部変えないと、本当に採りたい人が採用できないというのが率直な感想です。

【Bさん】まったく同感です。採用に関わって4年目なんですが、以前と明確に違ってきたのは「これまで出会えなかった学生に出会いたい」ということです。

【中原】これまで出会えなかった学生、というと?

【Bさん】人材サービスの仕事をしたいという学生だけでなく、むしろ志望していない学生にもこの業界の意義や面白さを伝えていきたいと思っています。はじめからターゲットを決めつけすぎることなく、多様な学生に人材業を知ってもらいたいな、と。その中でこの業界の厳しさやビジネスの側面もしっかり伝え、入社後のリアリティショックを生まないようにしていきたいと思っています。

【Cさん】弊社ではもはや採用はゴールではなくなり、採った人材をいかに戦力化するかをゴールにしている、というのが一番大きな変化です。結局、採用は1つのプロセスであって、2年目、3年目の段階でいかに事業戦略に沿った形で戦力化できているかが重要だ、ということがわかってきた。そこで今は採用チームに育成チームのメンバーも加わり、採用から育成まで一気通貫にやっていこうという体制になっています。

【中原】採用と育成をセットにする考え方は、今後、確実に広まっていきますね。しかしそうなると、今までのように単に目標人数が採用できた、というだけでは評価されないのではないでしょうか。採用担当としての評価は何で決まるんですか?

【Aさん】難しいですが、評価のポイントは2つあります。1つは「今の採用基準に合った人が採用できたか」ということ。もう1つは「欲しい人材を採用するために適した採用方法になっていたか」という点ですね。

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