未曾有の金融危機だ。欧米主要国は10月10日のG7を経て、総額6000億ドルの公的資金注入策をまとめた。市場はひとまず好感しているが、「銀行経営の失敗を税金で尻拭いするのか」と激しい議論を呼んだ。

M&Aに詳しく、『会社の値段』(ちくま新書)の著書がある森生明氏は「公的資金注入とは金融機関の『会社の値段』を、国が自らリスクを取って保証する行為」と説明する。「血税で損を出すわけにはいきません。税金で金融機関の株式を強制的に買い取ることで、『底値が見えない』という疑心暗鬼の悪循環を断ち切る効果があります」

日本でも1998年から99年にわたって12.4兆円の公的資金が注入された。9.2兆円が回収され1.3兆円の利益が生じたが、30%分は未回収だ。リスクは決して小さくない。

バランスシートで見る金融危機
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バランスシートで見る金融危機

「金融機関の救済とはバランスシートの縮小を防ぐこと。『負債』では預金の保護、『資産』では不良資産の買い取りや時価会計の凍結をうちだしても信用不安は止まらなかった。残された選択肢は『純資産』の縮小を防ぐ資本注入だけ。経済の“心臓”を止めないためには必要な施策でした」

金融機関は甘やかされていないか。

「資本注入の目的は金融システムの正常化。事態が収拾すれば経営責任を厳しく追及されるでしょう」

リーマンのファルドCEOは破綻後、市民から顔面パンチを食らった。“パーティ”のツケ払いはもっと痛いものになりそうだ。