日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ。同社は一昨年、6時間労働制を打ち出して話題を呼んだ。その前から成果報酬は導入せず、基本給・ボーナスは一律支給など、社内から競争を排除している。「争うのは嫌い」という前澤友作社長が目指すのは、どのような企業像だろうか。

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前澤友作氏

【田原】事業の話をもう一度聞きたい。ファッションの売れ行きは波がありそうだけど、前澤さんのところはどう?

【前澤】ずっと右肩上がりです。ブランドさん単体だと、去年と今年で売れ行きが違うということも起きますが、うちは約2000ブランド扱っているので、流行にはほとんど左右されません。

【田原】今年は消費税が3%上がります。消費が落ち込むと危惧されていますが。

【前澤】それも今のところ影響ないと予想しています。むしろ消費者の財布の紐がかたくなるほど、「電車賃を払って店に行くより、ネットの送料無料の店で買ったほうが得じゃないの?」と考える人が増えて、うちに有利になるんじゃないかと楽観しています。

【田原】長期的にはどうですか。今の若い人は欲がなく、ものを欲しがらないという話があるけど、服も売れなくなるということはない?

【前澤】商品単価は年々下がっているので、服にかける可処分所得は確実に下がっていくと思いますが、それをカバーするだけの成長は可能です。日本ファッション市場のEC化率はまだ6%位で、伸びしろが大きい。ファッション全体の市場が少し縮んでも、ネットで洋服を買う習慣が広がっていけば、さらに成長できます。

【田原】海外も視野に入れていますか。

【前澤】興味ありますね。特にアジア。香港や台湾は、日本のファッションが好きだという人が多いので、まずそこからやってみたい。今もグローバルサイトがあるので世界中で買えるのですが、プロモーション活動や決済手段を考えると、現地に拠点が必要なので。

【田原】中国はどうですか。

【前澤】中国は、2年前に孫正義さんと一緒にやらせてもらったのですが、うまくいかずに1回撤退しています。