2014年3月8日(土)

「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー

プレジデントFamily 2014年4月号

池谷裕二(東京大学大学院薬学系研究科准教授)=教える人 小川 剛=構成 PIXTA=写真
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1日のうちで頭の良くなる時間とは

私たちの脳は、人間になってから突然できあがったわけではありません。

魚類、爬虫(はちゅう)類、哺乳類へと進化していく過程で、少しずつ現在の形へと変化してきて、最後にちょっとだけ飾りがついたのがヒトの脳です。そのため、野山を駆け回っていたころの「野生」が刻み込まれているのです。

たとえばサバンナに暮らすライオン。

彼らは昼間はほとんど寝ています。獲物を狩るのは明け方や夕方。そうした活動時間帯には脳がフル回転して、この辺りは獲物にありつけるとか、あそこは敵に遭遇しやすいから危険だなどということを覚えるわけです。

頭がさえて、記憶力が良くなる時間帯は人間も同じです。

人間の生活に当てはめてみましょう。まずは起きてから日が高くなり始める午前10時くらいまでが、脳が働いて記憶力が高くなる時間帯といえます。

なぜ記憶力が高まるかといえば、おなかがすいているから。ライオン同様、人間にとっても「空腹」は危機的状況であり、自然と注意力や記憶力が増進するのです。

ただし、起き抜けの時間帯はまだ脳が寝ぼけている状態なので、暗記には向きません。計算や一般的な復習に充てるのが良いでしょう。

おなかがいっぱいになると危機的状況を脱して記憶力が低いモードに入ってしまいますから、朝食は軽めにしておく。午前10時くらいになったら甘いおやつを少しだけ食べると、お昼ご飯までにもうひと踏ん張りできます。

もう1つ、午前の時間についてアドバイスをするとしたら、学校に着いたら、まず1杯の水を飲むようにさせてください。近年、記憶力や学習能力に「水分」が大きな影響を与えることが明らかになってきたのです。

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