2014年3月1日(土)

「100点取れて、エライね!」がダメな理由

プレジデントFamily 2014年4月号

著者
池谷 裕二 いけがや・ゆうじ
東京大学薬学部教授

池谷 裕二1970年生まれ。専門は大脳生理学。とくに海馬の研究を通じて、脳の健康や老化について探究している。最先端の知見をわかりやすく解説する脳のスペシャリスト。文部科学大臣表彰若手科学者賞、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞などを受賞。『海馬』(共著、新潮文庫)『記憶を強くする』『進化しすぎた脳』(共に講談社)『脳には妙なクセがある』など著書多数。

池谷裕二(東京大学大学院薬学系研究科准教授)=教える人 小川 剛=構成
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勉強が楽しいとき親が褒めては逆効果

東大生は親から「勉強しなさい」とあまり言われないそうです。理由は簡単で、親に言われなくても勉強していたり、効率よく勉強し成績をあげている子が多いからでしょう。

しかし、彼らが親に強いられなくても勉強を続けることができたのはなぜでしょうか。

やる気を起こさせる基本的な方法論として、「褒める」と「叱る」があります。「勉強しなさい」というのも「叱る」部類に入ると思いますが、「褒める」と「叱る」では、どちらが有効でしょうか。

マウスに迷路を学習させる有名な実験があります。「ゴールに餌を置いておく(=褒める)」、「道筋を間違えたら電気ショックを与える(=叱る)」、「正しければ餌、間違えたら罰を与える(=褒めたり、叱ったり)」という3つのパターンで実験を行うと、効率よく学習できるのは、「ゴールに餌を置いておく」だけなのです。

「餌と罰の両方」もダメで、罰が待っていると学習中のマウスは萎縮してその場から動かなくなってしまう。

このようにマウスの実験では「褒める」だけが効果的という結果がキレイに出ます。では、人間ではどうでしょう。

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