2014年2月16日(日)

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高野誠鮮(たかの・じょうせん) 1955年、石川県羽咋市生まれ。科学ジャーナリスト、構成作家などを経て84年羽咋市臨時職員になり、宇宙博物館「コスモアイル羽咋」をつくり話題に。2005年、過疎高齢化が深刻な同市神子原地区を年間予算わずか60万円で立て直すプロジェクトに着手。4年後に限界集落からの脱却に成功し、スーパー公務員と呼ばれる。

舞台は石川県羽咋市の神子原(みこはら)地区である。人口はかつて1000人を超えたがいまや半減、加えて65歳以上の住民が半数を占める限界集落だ。

この過疎の村を覚醒させ、限界集落から脱却、ローマ法王に献上の「神子原米」というブランド米を生み出すことに成功した羽咋市役所の職員、高野誠鮮さん(58歳)の記録である。

高野さんは羽咋市の名刹の次男だが、跡継ぎとして東京から戻り、市の臨時職員として奉職、農林課に属していた。平成17年4月、市長から2つの命令が下る。(1)過疎高齢化集落の活性化、(2)農作物を1年以内にブランド化せよ――。

農業とは無縁だった高野さんには不可能に近い難題であったが、「むずかしい仕事に直面すると、胸がジーンと熱くなるのです」。

高野さんはシナリオを描いた。主役は村人である。高齢化阻止には空地・農家を若い都市住民に貸す。自ら農作物に価格を付けて売る販売会社の設立、等々。

村は紛糾した。これまで役所とJAの2つの補助輪に支えられてきた。その支柱を取り払って自立せよ、というのだ。

「赤字は、市が面倒見るのか」
「黒字になるまでやるのです」

途端に、灰皿が飛んできた。

「あんたが米を売ってくれれば言うことを聞くよ」
「わかりました。約束ですよ」

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