2014年4月の消費税増税によって住宅購入の際の負担が増えることはご承知のことだろうが、これに加えて物件価格やローンの金利も上がる「トリプルパンチ」が懸念されている。

実際、今年、販売された物件の平均価格を見ると、首都圏で前年比6%、近畿圏で同2%ほどアップしている。値上がりの背景にあるのは、第1に地価の上昇。東京の都心部や人気の住宅地、大阪や名古屋などでも利便性の高い市街地ではじわじわと地価が上がり始めている。さらに、円安の影響から輸入に頼る建築資材費も上がり、施工の人件費もアップ。これらが物件価格を押し上げているのである。

では、住宅ローンの金利はどうなるか。アベノミクスによって今後、景気が順調に回復すれば、市場金利も上がっていくのが経済の法則である。長期的に見れば住宅ローン金利も上がることは否めない。しかし、この空前の低金利時代がすぐに終わるかといえば答えは「NO」だ。

たとえば、半年ごとに金利が見直される変動金利は、連動する短期プライムレートが09年1月以降、1.475%からピクリとも動いていない。この短期プライムレートは銀行間のお金の貸し借りにも適用される無担保コール翌日物の金利と連動するため、長期金利に比べて動きが鈍いという特性がある。

固定金利も、国債の大量買い入れなど日銀の緩和策の継続により、当面は上昇が抑制される。

さらにいえば、住宅ローンは金融機関の競争も熾烈であり、市場金利よりも競合相手の動向で金利が決められる傾向が強い。借り手をつけるには、市場金利が上がったからと安易に住宅ローンの金利を上げられないのが現実なのだ。

こうした状況下において、変動、固定のどちらが得策なのだろうか。