使い手の情報力が“違い”を生む

かく言う私の場合、RSS(Rich Site Summary)で新聞や雑誌からキーワードで情報検索して、1週間で3500本の記事を読んでいる。かなりの時間的な投資が必要だが、それでも複数の新聞や雑誌を何十冊も斜め読みしていた時代と比べれば、はるかに時間投資は少なくて済む。

記事はもっぱらiPad miniで読む。まず広告を含めて画面全面に目を通して、今度は気になったものを記事別に読む。

最近は雑誌の記事もネットで読める。雑誌というのは「幕の内弁当」のようなもので、どこの雑誌を読んでも内容は似たり寄ったりだから、パッケージ丸ごと買わなくても、ネットで単品料理を記事検索し、購入したほうがいい。

それでも私が紙で読んでいる雑誌もあって、「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」がそうである。これはネットで読むより、紙の雑誌を手に取って見開きで読んだほうがエキサイティングだからだ。恐らく、意図的にレイアウトの段階でそういう工夫を凝らしているのだろう。

私の情報収集の特徴の1つはNNA(News Net Asia)などのアジア系の情報を丹念に集めていることだ。たとえば「新華社通信」「朝鮮日報」「中央日報」などの記事を読んでいると、彼らが日本をどう見ているかがよくわかる。その対極として国内では「産経新聞」にも目を通すが、こちらで論を展開しているのは安倍晋三首相の人脈、もしくは親衛隊だから政権の本音に近い。なぜ近隣諸国ともめているのか、朝日新聞ではわからないが安倍=産経として見ればわかりやすい。

情報というのは自分から取りにいかなければ、価値を生むことはない。毎日の情報の流れの中から、いかに自分に役立つものを取りこんでくるか、である。スマホでゲームをしたり、動画を受動的に楽しんでいるうちはテレビを見ているのと何も変わらない。好きな人のツイッターをフォローするのも受動的な使い方でしかない。そもそも100万人がフォローしているツイッターを読んでも、100万人と同じ情報を得るだけだ。

胃に入れる金額と頭に入れる金額を同じにする

スマホがコモディティ化すればするほど、そこからどんな情報を引き出せるか、使い手の情報力が“違い”を生むのだ。

「情報投資にどれくらいのお金をかければいいですか?」と最近、聞かれることがある。

人によって違うのは当たり前だが、自分の体を維持するためにどれくらいの食費をかけているか、考えてほしい。胃に入れる金額と頭に(情報を)入れる金額を同じにしろ!

というのが私のアドバイスである。

(小川 剛=構成 AFLO=写真)
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