多くの視聴者が困惑したエンディング

「東京セントラル証券への出向を命ず」

ネットでのやり取りを見る限り、この頭取の一言に対して、様々な感想、怒り、不信感などが湧き上がっている。

「会社というものが信じられなくなってきた」から「当然」まで幅広い反応がある。

話題になったテレビドラマ「半沢直樹」最終回のエンディングへの感想である。上司である大和田常務の数々の不正を明らかにし、彼を追い詰めて、役員会で土下座をもって謝らせ、そのあとで頭取から受け取る辞令である。不正を暴き、金融庁検査をうまくかわし、銀行を危機から救いつつ、同時に経営不振に陥っているホテルを再生軌道にのせた。ある見方をすれば、銀行と顧客を救ったヒーローである。そのヒーローに対して、出向で報いるのか……。

多くの人々にとってはわけがわからん、というのが本音かもしれない。また、結局は会社というものは……という感想を持った人も多いだろう。皆さんはどうお考えだろうか。

私は、この人事は十分現実性を持った内容だと思っている。大和田常務の人事については、大いに問題ありだが、半沢直樹については、こうしなければ、逆に間違いである。

実は、辞令の与え方などについて、原作とは少し違うので、そちらを読まれた方は、ある程度理解されているかもしれないが、私が考えるに、この人事は東京中央銀行にとっては当然の選択とも言えるのである。

いくつか理由がある。まず第1にいくら何でも、土下座はやりすぎである。それも役員会の場である。土下座して謝り、その場を収める、というやり方は、現代の企業でもたまに見られることはあるが、少なくとも、誰かに強制するものではない。そこまでやって相手の怒りなどを鎮めるという目的でたまに使われることはあるが、ひとりの人間の人間性を大きく否定することに繋がるので企業では受け入れにくい。土下座を強制されるとは、それほどまでの屈辱なのである。

では、それだけのことを大和田常務はやったのか。これが処分の背景にある第2の理由である。