2014年1月6日(月)

なぜ、セブンはビッグデータ分析する他社より日販が高いのか【1】

セブン&アイHLDGS会長兼CEO 鈴木敏文 特別インタビュー

PRESIDENT BOOKS /PRESIDENT Online スペシャル

インタビュアー=勝見明 撮影=尾関裕士
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――流通業界でも最近は、ポイント会員の買い上げデータなどの「ビッグデータ」をコンピュータで分析することが注目されています。コンビニエンスストアのチェーンによっては、販売データの分析をもとにフランチャイズ店向けに、どの商品を発注すべきか、目安を示すようなシステムの導入が行われています。店舗のスタッフはその目安に従って、発注する。一方、セブン-イレブンでは、店舗スタッフ自身による「仮説・検証」による発注を徹底しています。同じデータの扱いでも、どこがどう違うのでしょう。
鈴木敏文氏

【鈴木】小売業では販売データを把握するためPOS(販売時点情報管理)システムが使われます。日本で本格的なPOSシステムを全店に導入したのはセブン-イレブンが最初で、1983年(昭和58年)のことでした。アメリカでもPOSが普及し始めていましたが、主にレジの打ち間違いや不正防止が目的で、マーケティングに活用したのは世界でも日本のセブン-イレブンが初めてでした。以来、セブン-イレブンでは世界最先端の情報システムの導入を続けています。

セブン-イレブンの1店舗あたりの平均日販が66万8000円(2013年2月期)で、他のチェーンと12~20万円の開きがあります。なぜ、これほどの差が生まれるのか。1つには、販売データの使い方にあります。一般的に、コンビニはPOSシステムの販売データをもとに、よく売れた商品を売れ筋として発注するように思われていますが、それはまったくの誤解です。データはあくまでも仮説を検証するために使うのです。

セブン-イレブンの各店舗では、発注分担といって、高校生のアルバイトでも発注を任されます。素人同然のアルバイトでも、経営を左右する発注の仕事をこなせるのは、仮説と検証を繰り返すからです。明日の天気や地域の行事などの先行情報をもとに、明日の売れ筋の仮説を立て、発注する。自分で発注した以上、責任を持って売り切ろうと、陳列を工夫してアピールし、POP広告なども手づくりし、お客様に声かけをします。そして、販売の結果をPOSシステムの販売データで検証する。売れていれば仮説は正しかった、売れなかったら仮説がずれていたことになり、次の仮説に活かしていきます。

もし、自分では何も考えずに発注をしていたら、販売データを見ても、何の検証もできません。売り上げの数字は、事前に仮説を立てることによって、初めて意味を持つのです。他チェーンと12万円以上の平均日販の差が生まれるのは、アルバイトやパートのスタッフに至るまで、仮説・検証を徹底させ、1人ひとりがデータを読む力を持っていることが、大きな原動力になっているのです。

同じ「水温4度」というデータでも、夏と冬とでは、意味が違うように、数字は見方次第でいくつにも読み方ができます。このとき、仮説を立てておくと、数値データの意味が明確になり、次の仕事につながる。セブン-イレブンの店舗での取り組みがそうであるように、日々の仮説の積み上げが、大きな成果に結びつく。仕事も運動も同じです。

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