――ABC分析(※)では、売り上げの1番大きな商品群に目を向けます。市場を見るときも、売り手はとかく数字の大小を比較して、「より大きい数字」に目を奪われてしまう習性があります。しかし、数字の奧にある意味合いを考えると対応が違ってくる。ほかに売り手が陥りがちな習性として、どのようなものがあるでしょうか。

※各商品の売れ行きをA、B、Cの3ランクに分けて、Aランクを「売れ筋」の最重点商品として管理する。

鈴木敏文氏

【鈴木】われわれ売り手がとかく目を奪われがちな数値データがもう1つあります。全体の平均値です。平均値と自分の数字を比べて一喜一憂する。しかし、平均値との比較は、お客様にとってはまったく意味がありません。

例えば、コンビニで、A店は立地的には人口が過疎な地域ながら、ご用聞きや宅配などのサービスを積極的に行って、仮に平均日販が50万円だったとします。一方、B店の商圏は人口密度が高く、競合もほとんどなく、環境に恵まれながら平均日販が同じく50万円だったとします。そして、チェーン全体の平均日販も50万円だったとします。A店とB店は平均日販50万円でもまったく意味合いが違うのに、平均値と比べて同じだとか、高いか低いかを考えても意味がありません。

また、A店では商品Xは10個、商品Yは8個、商品Zは3個売れたとします。一方、B店では商品Xは1個、商品Yは5個、商品Zは7個売れたとします。そのまま平均すると1店舗あたり、商品Xは5.5個、商品Yは6.5個、商品Zは5個売れたことになります。この数字に何の意味があるでしょう。単純に平均値を出して分析しても、数字の上っ面をなでているだけで、本質を捉えていないことが結構あるのです。