2013年11月11日(月)

ガソリン需要が急減、石油業界はどう生き残るか

PRESIDENT 2013年7月1日号

著者
橘川 武郎 
一橋大学大学院商学研究科教授

1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科第2種博士課程単位取得。青山学院大学助教授、東京大学社会科学研究所教授を経て、現在一橋大学大学院商学研究科教授。専攻は日本経営史、エネルギー産業論。著書に『日本電力業発展のダイナミズム』、共著に『現代日本企業』などがある。

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一橋大学大学院商学研究科教授 橘川武郎=文 図版作成=平良 徹
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付加価値を生む「石油のノーブルユース」とは

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図1 石油製品(非電力用)の国内需要

まず、図1を見てほしい。この図からわかるように、日本国内では石油製品(非電力用)に対する需要が今後、急激に減退する。需要縮小は、主力製品であるガソリンについて、とくに著しい。

ガソリン需要縮小の最大の理由は、自動車用燃料としての使用量が減ることにある。表1にあるとおり、これからの日本では、新車販売においても、自動車保有においても、次世代自動車のウエートが大幅に拡大する。次世代自動車とは、燃料電池車、電気自動車、ハイブリッド車などのことであり、燃料としてガソリンを使わないか、使うとしても従来型の乗用車と比べてはるかに少量であるか、のいずれかである。

このように石油製品の内需が減少を続けるなかで、石油業界はどのような成長戦略をとれば、逆境をはね返し「逆転勝利」を手にすることができるのか。本稿では、4つの成長戦略に光を当ててゆく。

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表1 乗用車に占める次世代自動車の割合

日本国内における石油業界の成長戦略を考える際にヒントを与えるのは、第1次石油危機が発生した1973年と東京電力・福島第1原子力発電所事故が発生する前年の2010年とを比べた2組の数字のペアである。日本の発電電力量の電源別構成比における石油火力発電のシェアは、この間に73%から8%にまで急減した。一方、わが国の1次エネルギー構成に占める石油のウエートは、同じ期間に78%から40%へ減少したものの、減少幅(減少率)は石油火力発電の場合に比べればかなり小さかった。石油を火力発電用などの燃料として使用することは、ある意味で「もったいない使い方」である。石油以外にも代替燃料はあるし、発電用として使用することは、エネルギー効率が高いとはいえない。一方、石油を原料として使用する場合には、石油からしか製造できない付加価値の高い商品を生み出すことができる。このように「石油の特性を活かし付加価値を高める用途に使う」ことを、「石油のノーブルユース」という。

1次エネルギー構成に占める石油のウエートが発電電力量の電源別構成比における石油火力発電のシェアほどには減らなかったという事実は、わが国において石油のノーブルユースの割合が高まったことを意味する。もちろん、10年においても、ノーブルユースの比率それ自体が必ずしも高いわけではない。しかし、ノーブルユースの比率が傾向的に高まっていることは事実であり、付加価値を生む石油のノーブルユースを徹底させることこそ、石油業界の第一の成長戦略だということができる。

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