私たちは、時間を上手に管理するために、目標を立ててブレークダウンし、今日はこうあるべきと計画を立てるのだが、それが実行できずに元に戻ってしまうことがよく起こる。それはなぜなのだろうか? そこのところを本質的に解決しようとするのが、「タイムマネジメント4.0」の考え方である。

当社にはたくさんの小さな石と大きな石を1つのバケツのなかに入れてもらう演習がある。大きな石は私たちの大切な事柄、小さな石はささいな事柄の象徴。ほとんどの人は先に小さな石をざっと入れ、それから大きな石を入れていく。先に小さな石をバケツに入れていくと、大きな石が入りきらなくなってしまう。なんとかすき間をあけて押し込もうとしても無理である。

図を拡大
図3 make a week

私たちの日常もこのようなイメージであろう。先にささいな事柄で1日が埋め尽くされ、大切な事柄が先送りされていく。演習で改めて新しいバケツを用意して再び石を入れてもらうと、今度は大きな石を先に入れ、残りのスペースに小さな石を入れていく。それでも全部入りきらないのだが、大きな石が入りきらないのとどちらがよいか。答えは明らかだ。私たちは大きな石から先に入れ込んでいくように計画を立てなければならない(図3)。

第2領域「緊急ではないが大切なこと」に集中するためには、社会生活の基本的な単位である週単位で計画を立てるのがよい。これを我々はmake a week(1週間をつくる)と提唱している。

会社の定例会議や週末の休日など、たいていの人の1週間の生活は多くの部分がパターン化されている。バケツに大きな石を入れはじめる前から、すでに入っている石があるというわけだ。したがってすでに決まっているスケジュール以外の時間を無理なくうまく使い、第2領域の事柄を入れ込んで1週間をデザインしていくことが必要である。

タイム・マネジメント4.0で計画を立てる前提として、何が自分にとって第2領域に入る「大きな石」であるのかを見極めなければならない。そこで重要な観点になるのが、役割のバランスとP/PCバランスだ。