フランクリン・コヴィー・ジャパン副社長 竹村富士徳氏

1人の男性にとって家庭では夫や父、会社ではマネジャーや部下、地域では自治会役員などいろいろな役割を担っている。しかも年齢を重ねるにつれ、役割はどんどん増えていく。

見落としてはならないのは、役割の向こうに大切な人間関係が存在することである。夫であれば妻、父であれば子供、マネジャーであれば部下というように大切な人間関係があるからこそ役割を担うのだ、ともいえる。

自分にとっての大きな石を見つけるには、それぞれの人間関係における役割を考える。そして自分ができる第2領域の活動を1週間のなかで意識的に準備することだ。たとえば、夫の役割を果たすのであれば「休日に妻の話を3時間聴く」といったことが考えられよう。

担うべき役割は他人に対してだけではなく、自分に対しても存在する。自分自身に対する役割とは、自分が真に望む結果を得るためにそれを継続的に得られるよう目標達成能力を磨くこと、すなわちProduction(望む結果)とProduction Capability(目標達成能力)のP/PCバランスをとることである。

目標達成能力を磨くには、肉体、情緒、知性、精神の4つの側面で刃を研ぐことである。肉体は生きること、情緒は愛すること、知性は学ぶこと、精神は貢献することという人間が持つ4つのニーズに対応している。

人間は最低限、生きていくために飯を食べていかなければいけない。伴侶、家族、友人と愛し愛される情緒も必要だ。それらが満たされると学び成長していきたい欲求が生まれ、社会に対して貢献する意欲が湧いてくる。

企業で社員のモチベーションをあげようとするときは、給与やコミッションを増やすといった「肉体」の側面の方策がとられることが多い。しかし人のモチベーションに働きかけるのはお金だけに限らず、上司や同僚に認められたい、もっと学んで自分を成長させたい、仕事を通じて社会に貢献したい等々、いろいろなものがある。とくに3.11以降は日本人の価値観に大きな変化が生じ、お金よりも他の人々や社会に対して貢献したいという価値観が高まっているというデータもある。