大手全社が販売する淹れたてコーヒー。今年1月、セブン-イレブンが最後に参入し、カフェチェーンを凌ぐ勢いで伸びているという。なぜ注力するのか。「売り上げ以外の目的」を明らかにする。

コーヒーを飲むならコンビニで。コーヒーをテークアウトするのもコンビニで。こんな時代がそこまできている。

弁当・PB商品の強化、酒類やタバコの取り扱い、デザートの拡充など、他業種の機能を付加しては磨き上げ、成長してきたコンビニ各社がいま一斉に強化しているのが、淹れたてのコーヒーだ。販売スタイルや価格、メニュー構成は各社異なるものの、売り上げはどこも絶好調といっていい。

活気づくコンビニコーヒーの最前線から透けて見えるのは、この商材の持つポテンシャルの高さだ。喫茶店やファストフード店からただ顧客を奪うだけではない。単に売り上げにオンするだけでもない。コンビニコーヒーは、さまざまな波及効果をもたらしている。

原価率は平均の半分以下

グラフを拡大
コーヒー消費の現状早わかり

コンビニが淹れたてコーヒーに挑戦するのは今回が初めてではない。各社とも、過去10年近く何度もトライしては縮小、もしくは撤退を繰り返してきた。諦めずコーヒーに挑んできた第1の理由は、その利益率の高さにある。

UBS証券でアナリストを務める守屋のぞみ氏はこう断言する。

「コンビニが扱う商品の平均原価率は70%ですが、淹れたてコーヒーはそれよりも原価が低く、粗利率が高い。100円台の販売価格で十分な利益が見込める商材です。コンビニチェーンがやはり力を入れている生鮮食品は、有望なカテゴリーではあるものの、ロス率が高いという難点がありますから、利益率が高い淹れたてのコーヒーと合わせて、採算のバランスをとっていると見ています」