2013年8月14日(水)

NHK朝の連ドラ「あまちゃん」はなぜヒットしたか

PRESIDENT 2013年9月2日号

著者
中森 明夫 なかもり・あきお
アイドル評論家

中森 明夫作家、コラムニスト、エディターなど、多方面で活動。1980年代に「新人類の旗手」として脚光を浴びる。「おたく」の命名者としても知られている。著書に『アイドルにっぽん』『東京トンガリキッズ』『女の読み方』、共著に『AKB48白熱論争』などがある。初の小説『アナーキー・イン・ザ・JP』は三島由紀夫賞候補となった。Twitterアカウントは@a_i_jp

答える人=中森明夫(アイドル評論家)
1
nextpage

震災への予感がうむ不思議な緊張感

NHKの朝ドラ『あまちゃん』が快進撃を続けている。4月の放送開始初回から視聴率20%超を達成、その後も人気を保ち、毎朝、2000万人以上もの熱い視線を集めている。

同枠は半年クールで東京・大阪の局が交互に制作、『ゲゲゲの女房』(2010年度上半期)、『カーネーション』(2011年度下半期)、『梅ちゃん先生』(2012年度上半期)等、近年でも人気作品はあった。けれど今期の『あまちゃん』の場合、いささか様相が異なる。視聴率以上に話題性が突出しているのだ。たとえば「週刊現代」「週刊ポスト」のビジネスマン週刊誌や女性週刊誌ではこのところ毎週、数ページもの『あまちゃん』特集記事を組んでいる。私自身が毎週コメントを求められ、遂には「女性自身」に〈週刊『あまちゃん』批評〉なる連載まで持つことになった。週刊誌に限らない。新聞やテレビでも“あまちゃん現象”と騒がれている。なぜ、1つのドラマがこれほどの話題を呼んでいるのだろう?

ストーリーを簡単に紹介しよう。

母の故郷、東北の海辺の街へ、東京から連れていかれた娘・天野アキが、祖母・夏のもと、海女を目指す。これが前半の故郷編だ。ヒロインにオーディションで選ばれた能年玲奈は、透明感のある美少女で、溌剌とした演技が一躍脚光を浴びた。母・春子に小泉今日子、祖母・夏に宮本信子と、存在感のある女3世代がドラマの主軸である。

これに地元駅長の杉本哲太、観光協会長の吹越満、海女仲間の渡辺えりや木野花、美保純らクセ者揃いの脇役陣がからみ、毎度、面白おかしいセリフと怪演を競い合って笑わせる。

脚本の宮藤官九郎の功績大だ。クドカンの愛称で今や若者のカリスマとなった。サブカル的ドラマの印象の強い宮藤ではある。日本中のお年寄りまでが毎朝観る保守的なNHKの朝ドラはアウェーとも言えた。が、番組初回に「じぇじぇ」という驚きを表す方言を多用、あっという間に全国的流行語となる。見事に視聴者の心をつかんだ。

PickUp