アメリカでは杭を出さないと潰される

アメリカで資金ゼロから事業を起こし、「世界一の会社にするんや」とデカいことを言った、家族に「ホラ吹き」と呼ばれた日本人の男が、そのデカいことを現実のものにした。

アメリカで起業したからこそ、叶わない夢を実現することができたのか? 日本では無理なことだったのだろうかと聞くと、吉田は明快にこう答えた。

「アメリカでは、何度失敗しても起き上がることができる。自分が4回破産寸前になっても立ち上がることができた。失敗から立ち上がった者は拍手でたたえられる。そして、杭を出す者ばかりだ。杭を出さないと潰される。

ところが、日本はそれとは真逆の社会だ。杭を出したら打たれ、失敗したらそれで終わり。だから、挑戦することに臆病になる。もし私が日本にいたら、間違いなく『出る杭は打たれ』、うまくいかなかったはずだ」

アメリカのクッキングショーに出演する吉田氏
写真提供=ヨシダグループ
アメリカのクッキングショーに出演する吉田氏

75歳でマイナスからの再スタート

そして、アメリカでは、何歳になっても挑戦できると話す。吉田は今年75歳になり、ヨシダグルメソースの販売をゼロからやり直すというのだ。

会社の後継者がいなかったために2000年、一代で築いたこの事業を白紙にしようと、ライバルのハインツ社にアメリカ国内での販売権を売却した。ところが2024年、吉田の18歳の孫が事業を継承したいと言い出したことから、慌てて権利を買い戻したという。

ハインツ社は営業努力をしなかったために、グルメソースの販売網と販売本数は大幅に縮小していた。

こういうマイナスの状況をプラスに転じるためにエネルギーを注力するのは、吉田の持ち味だ。「コンチキショー、やってやる」で、初年度7月の売上はハインズのピーク時より倍増し、以前に近い数字に戻した。これからが勝負だ、と熱い思いを語る。