経済援助、軍需物資提供、同盟国への派兵も

②大陸諸国を経済的・軍事的に後方支援する
社會部部長『あの国の本当の思惑を見抜く 地政学』(サンマーク出版)
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具体例:冷戦期の経済援助。アメリカは戦後荒廃していた西欧諸国と日本に対し、経済援助を行うことで復興を支援しました。こうすれば、大陸諸国が勢力を取り戻し、自力でソ連に対抗できるようになるからです。第二次世界大戦では、イギリスやフランス、中国、ソ連に軍需物資を提供しました。

③大陸諸国が攻撃された際は派兵する

具体例:アメリカの同盟。アメリカはNATOを組織するだけでなく、大陸の加盟国が攻撃を受ければ直接派兵することを確約しています。大陸の加盟国だけでは戦力が足りないからです。日本と韓国との同盟も同じ意図です。第二次世界大戦では、①と②でも対抗し切れないほどドイツが強力だったため、大陸に直接派兵しました。

各国を「チェスの駒」のように動かしている

これらの方法で、海洋国家は外部から勢力均衡を操作することによって、潜在覇権国がユーラシア大陸の外に出てこられないようにするのです。言い換えれば、ユーラシア大陸の国々がお互いを弱め合うよう促すことで、どの国も強くなりすぎないよう調整しているのです。アメリカがユーラシア大陸に基地と同盟国を多数配置するのは、ロシアや中国のような潜在覇権国がユーラシア大陸を一挙に支配しないようにするためです。

政治学者ズビグネフ・ブレジンスキーは、ユーラシア大陸を1つの大きなチェス盤、各国を駒、アメリカをチェスの指し手に見立てました。潜在覇権国(ロシア、中国など)に対し、駒(イギリス、フランス、ドイツ、日本など)を戦略的に動かして、封じ込めていくというたとえです。今の国際政治は、単に大国同士の力比べではなく、大陸の潜在覇権国に対し、海洋国家アメリカがどの国をどう味方につけるかによって動いているのです。

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