塾は効率的とも思えなかった

話を戻しましょう。「合格を目指すなら塾に通って勉強したほうが、格段に成功率が上がるのでは?」と思う人もいるでしょう。ですが、受験を1つのプロジェクトと捉えていた私にとって、塾に通って勉強するのは好きな方法ではないし、効率的とも思えなかったのです。

実は、私も夏期講習に通ったことがあり、そこで気づいたことがあります。それは効率の悪さです。私が受験勉強をしていた当時、いまのような個別指導をする塾はほとんどなく、学校の授業と同じ集合教育の延長のようなものでした。学校の授業で座っているのと同じように塾講師の話を聞き、ほとんどの時間を他人の弱点の克服法について授業を受けるというのは、時間がもったいないと感じたのです。

それよりも、自分の弱点にフォーカスし、それを徹底的につぶしていくほうが、効果が2倍にも3倍にもなると、考えました。

結果は一目瞭然でした。こうして私は受験というプロジェクトで成功を収めることができたのですが、1つ皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、受験を1つのプロジェクトとして戦略的に捉えて挑戦した人ほど、その後の学びにおいても大きく伸びるということです。さらに、社会に出ても活躍し続けることができるようになります。

勉強も仕事も、目の前の課題を解決すべきプロジェクトとして捉えると、自ら考えて工夫し、自力で乗り越える手段を身につける訓練になるからです。

私が中3なら迷わず海外に行く

私が受験をした当時といまとでは、受験を乗り越えるというプロジェクトの形も大きく様変わりしたといえます。いまは、ネットでさまざまな受験情報をすぐに得られますし、勉強法もたくさん紹介されています。本当に便利な世の中です。

たとえば、YouTubeでもさまざまな勉強法が公開されていますので、私が受験勉強で取り組んだ情報の収集も、弱点の克服も、それらを活用すれば効率が格段に上がるでしょう。受験に打ち勝つ戦略の立て方は多様化しているのです。

もう1つ、私が受験をした当時といまとで大きく違うのが、入試制度の仕組みです。現在、大学受験の方法は国公立・私立ともに「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の大きく3つに分けられています。

大学入試センター試験から大学入試共通テストに変わった2021年度入試から、一般入試は一般選抜、推薦入試は学校推薦型選抜、AO入試は総合型選抜へと名称が変更されています。こうした大学入試制度を把握したうえで、私がこれから東大を目指すなら、どのような制度を利用して勉強するか? 間違いなく、4つめの「特別選抜」です。

私がいま中学3年生だとして、そこから東大を目指すなら、迷わず海外の高校に行くでしょう。たとえば、東大の2023年の世界ランキングは39位ですが、たとえば40位にいるブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)を目指すならペーパーテストの入学試験はありませんから、塾に通う必要もありません。